既存装置にAIを、ハードの後付けで予知保全が容易に:ルネサスが「SCF 2017」でデモ(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは「システムコントロールフェア(SCF)2017」(2017年11月29日〜12月1日、東京ビッグサイト)で、既存の製造装置に取り付けるだけで、機械学習を活用した予知保全などを行える「AIユニットソリューション」などのデモを行った。
冗長ネットワークをサポート
この他、産業ネットワーク向け通信プロセッサ「RZ/N1」を使ったデモも披露した。RZ/N1はルネサスが2017年3月13日に発表したもので、ルネサス独自のイーサネット通信用IP(Intellectual Property)「R-INエンジン」と、主要な産業ネットワークプロトコル、冗長ネットワークプロトコルに対応できるのが特長だ。ソフトウェアを変更するだけで、これらの異なるプロトコルに対応できるようになる。現時点で、PROFINET、EtherCAT、EtherNet/IP、CC-Link IE Field Basic(以下、CC-Link IE)、Ethernet POWERLINK、Sercos IIIの産業ネットワークプロトコルに対応する。
今回のデモでは、RZ/N1の中で最もハイエンドで、PLC(Programmable Logic Controller)などマスター機器向けの「RZ/N1D」を使い、冗長なリングネットワークをサポートできることを示した。
デモの構成は上の図の通りだ。PROFINET、EtherNet/IP、EtherCAT、CC-Link IEのそれぞれのプロトコルに対応したRZ/N1Dを搭載したマスター機器を用意する。これら4つのマスター機器は、冗長プロトコル(DLR)によって接続され、リングネットワークを形成している。ネットワークの一部が遮断すると、RZ/N1Dがそれを検知して別の経路に切り替えるという判断をするので、ネットワークの冗長性が確保される。
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