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「EyeQ5とXavierの比較が不適切」 NVIDIAが反論Intelの主張に対し(1/3 ページ)

「Intelが車載関連のイベントで示した、Intel『EyeQ5』と、NVIDIA『Xavier』の比較が不適切だ」――。NVIDIAから、EE Timesにこのような電話が入った。一体、どういうことなのだろうか。

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「EyeQ5」と「Xavier」の比較方法が不適切?

 Intelの車載用SoC(System on Chip)「EyeQ5」とNVIDIAの車載用SoC「Xavier(エグゼビア)」を比較することに意味はあるのだろうか。それは疑問だ。


「AutoMobility LA」に登壇したIntel CEOのBrian Krzanich氏 出典:Intel

 NVIDIAとIntelは、自動運転車向けAI(人工知能)チップについて、性能の競争を繰り広げている。AIチップの性能は、過去最高(消費電力では過去最小)レベルに達している。IntelのCEO(最高経営責任者)を務めるBrian Krzanich氏は、2017年11月29日に米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催された自動車技術に関する展示会「AutoMobility LA」で基調講演を行った。同氏は、「当社の子会社であるMobileyeが設計したEyeQ5は、ディープラーニングの性能において、NVIDIAのXavierの2倍以上の効率を実現できる」と主張した。

 Krzanich氏の基調講演の後、NVIDIAの自動車部門でシニアディレクターを務めるDanny Shapiro氏は、ロサンゼルスからEE Timesに電話をかけてきて、このIntelの主張が不当だと語った。

 Shapiro氏はまず、「展開時期とプロセスノードが異なる(Xavierは16nmでEyeQ5は7nm)2つのチップを比較するのは適正ではない」と強調した。


Intelは、「EyeQ5」は、ディープラーニングの性能において、NVIDIAの「Xavier」の2.4倍の効率を実現できると主張した 出典:Intel(クリックで拡大)

 Shapiro氏は、「Xavierは2017年内にもサンプル出荷を開始し、2019年に量産に入る計画だ。一方、IntelのEyeQ5は2018年にサンプル出荷を、2020年に量産を開始する予定の製品だ。実際に搭載されるのは2021年発売の『BMW iNext』が初となる」と説明している。

 さらに、Shapiro氏は「Intelは、NVIDIAの『Drive PX Xavier』の消費電力が30TOPS(Trillion Operations Per Second)で30Wとしているが、これはシステム全体とCPU、GPU、メモリの消費電力である。これに対し、EyeQ5の方はディープラーニングコアのみの消費電力を示している」と指摘した。

 そうであれば、Intelが提示したEyeQ5とXavierの比較は、不適切ではないだろうか。

 米国の市場調査会社であるTirias Researchの創設者で主席アナリストを務めるJim McGregor氏は、「確かに不適切だ。しかし、自動運転車向けソリューションのプラットフォーム間の比較を、現時点では誰も行っていないことの方が大きな問題だ」と述べている。

 レベル4またはレベル5の自動運転車向けプラットフォームを完成させるには、前述のSoCの他にどんなチップが必要であるかを議論せずに、2つのSoCの仕様だけを比較するのは、確かに無意味なことのように思える。

 IntelはEE Timesが最近実施したインタビューの中で、自動運転向けのマルチチッププラットフォームを近く発表する計画を明らかにした。同プラットフォームは、EyeQ5とIntelの低消費電力SoC「Atom」、I/OやEthernet接続を含む他のハードウェアで構成されるという。ただし、同社は、同プラットフォーム全体のTOPSやワット数などの詳細は公表しなかった。

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