「EyeQ5とXavierの比較が不適切」 NVIDIAが反論:Intelの主張に対し(3/3 ページ)
「Intelが車載関連のイベントで示した、Intel『EyeQ5』と、NVIDIA『Xavier』の比較が不適切だ」――。NVIDIAから、EE Timesにこのような電話が入った。一体、どういうことなのだろうか。
EyeQ5は、Xavierの性能を大きく下回る?
アナリストコミュニティーは、「Mobileyeが開発したEyeQ5の性能は、NVIDIAのXavierを大きく下回っている」との見方で合意している。Demler氏は、「2つのEyeQ5は、単なるシステムの“目”として使われるのだろう。Intelは、間もなく発表予定のプラットフォームの頭脳に当たる部分には、SoC『Atom』を採用する予定のようだ」と述べている。
またDemler氏は、「EyeQは、ARMv8アーキテクチャベースのNVIDIAのカスタムCPU(Xavierには、これが8個使われている)と比べると、比較的性能が低い旧型のMIPS CPUを採用している。Xavierに使われているようなカスタムARMコアは、非常に強力な“頭脳”を提供できるため、Atomや『Xeon』のようなプロセッサは不要だ。Intelは、自社のPC向けプロセッサを採用するとしても、それを隠し立てすべきではない」と指摘した。
つまりDemler氏は、NVIDIAのShapiro氏が主張する、「NVIDIAのXavierはDLAとGPUを提供し、EyeQ5は、(自動運転に特化した)コンピュータビジョンコアを提供する」との見方に合意しているということだ。
それなら、多くの業界観測筋が指摘しているように、Xavier対EyeQ5を異なる条件でより正確に比較するには、どのような方法があるのだろうか。
Demler氏は、NVIDIAの自動車用AIプラットフォームDrive PXと、Intelの自動運転車向け開発プラットフォーム「Intel GO」とを、同レベルの製品として比較することを提案している。さらに、Intel GOプラットフォームのFPGAを、同社がBMW向けに開発しているEyeQプロセッサに置き換えるべきではないかと述べる。そうすると、「最小の性能として、Intelは、デュアルEyeQ5+Atom=50W(推定)/40TOPS(ニューラルネットワーク性能)とみなす。これをXavierの60W/60TOPSと比べる。これで、より同一条件に近い環境下での比較になるのではないだろうか」(Demler氏)
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IntelによるMobileye買収、アナリストの反応は
IntelがMobileyeを買収することで合意したと発表した。自動運転車向けのコンピュータビジョン技術において既に同分野をけん引する存在であるMobileyeが買収されるというこの発表は、業界を驚かせた。調査会社のアナリストなど、業界の専門家はこの動きをどう見ているのだろうか。 - 「AIとはソフトの進化」 Intelが取り組みを強化
Intelは2017年12月5日に東京都内で記者説明会を開催。2017年における同社の取り組みを振り返った。AI(人工知能)分野については、京都大学医学部の専門家が登壇し、Intelのプロセッサを使った機械学習のシステムを、創薬に導入した事例を語った。 - インドEVメーカーと技術提携したルネサスの狙い
インドの電気自動車(EV)メーカーMahindra & Mahindraのマヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームと技術提携を発表したルネサス エレクトロニクス。世界的には、まだ名を知られていないインドのメーカーと提携した狙いはどこにあるのか。 - 2017年半導体売上高1位はSamsung ―― IC Insights予測
IC Insightsは2017年11月、2017年の半導体メーカー売上高ランキング予測を発表し、1993年以来同ランキングで首位を守ってきたIntel(インテル)に代わり、Samsung Electronics(サムスン電子)が1位になるとの見通しを明らかにした。 - 関心高まるRISC-V、Armやx86の代替となり得るか
2017年11月28〜30日にかけて、米国シリコンバレーで「7th RISC-V Workshop」が開催された。オープンな命令セットアーキテクチャ「RISC-V」は、Arm系やx86系の命令セットの代替となり得る技術として確実に台頭してきている。 - Intelが10nmプロセスの詳細を明らかに
Intelは2017年に10nmチップ製造を開始する予定だ。さらに、22nmの低電力FinFET(FinFET low power、以下22nm FFL)プロセスも発表した。GLOBALFOUNDRIESなどが手掛けるFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)に真っ向から挑み、ファウンドリービジネスで競い合う。