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中国メモリメーカーが直面する“特許”の壁Micronは既にけん制する動き(1/2 ページ)

メモリに注力する中国だが、Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyという巨大な3社が持つ特許を侵害せずに、メモリ技術開発を行うことはほぼ不可能だといわれている。中国メモリメーカーが直面するのは、“特許”の壁だろう。

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メモリに注力する中国

 中国企業が近い将来、半導体メモリ市場において大きな勢力を持つようになるとの認識が強まっている。中国政府は、国内の半導体産業を拡大すべく、今後10年間で1600億米ドルを超える資金を投入する予定だとしており、その資金の大半をメモリ関連の新興企業に提供している。中国半導体メーカーTsinghua Unigroupが、2つの大規模工場に500億米ドル以上の資金を投じるとする計画を発表している他、現在建設中または計画段階の工場も数多く存在する。

 メモリの中でも特にDRAMは、現在も一般的に、汎用事業の1つと見なされている。中国では、「中国のメモリ新興企業は、十分な投資を受けさえすれば、その資金力によってメモリチップ市場に参入し、業界の3大企業であるSamsung ElectronicsとSK Hynix、Micron Technologyに対する競争力を即座に発揮できるようになる」という社会通念が広まっている。しかし、こうした考え方は、もはや現状には即していないといえるだろう。


IC InsightsのBill McClean氏

 ところが、Tsinghuaとその子会社や、Yangtze River Storage Technology(YRST)、Fujian Jinhua Integrated Circuit(JHICC)などの中国のメモリベンチャー企業は、メモリ市場において3大企業との競争を繰り広げる以前に、“法廷”という別の場所でこれらの競争相手と対面することになりそうだ。

 米国の市場調査であるIC Insightsでプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるBill McClean氏は、EE Timesが最近行ったインタビューの中で、「中国のメモリベンチャー企業に、SamsungやHynix、Micronの保有する特許を侵害せずにメモリチップを製造することができるとは思えない」と述べている。

既にけん制する動きを見せたMicron


Micron TechnologyのSDRAM 出典:Micron Technology

 Micronは中国に対し、早い段階でけん制する動きを見せた。同社は2017年12月4日に、北カリフォルニアの民事訴訟裁判所において、営業秘密防衛法(DTSA:Defend Trade Secrets Act)および不正収益・腐敗組織法(通称RICO法:Racketeer Influenced and Corrupt. Organizations Act)に基づき、台湾の半導体ファウンドリーUMC(United Microelectronics Corporation)とJHICCに対して、企業秘密の窃取をはじめとする違法行為があったとする訴えを起こした。Micronの広報担当者は、申し立てを行ったことを認めていて、「Micronは、世界的規模で当社のIP(知的財産)を積極的に保護していく。あらゆる可能な法的選択肢を適用することにより、不正流用を是正していきたい考えだ」と主張している。

 McClean氏は、「JHICCなどの中国メーカー各社が、実際に半導体チップを市場投入するようになれば、重大な訴訟が本格化するだろう」と指摘する。中国企業が半導体チップの製造を開始すれば、SamsungやHynix、Micronは、実際の製品を検証することにより、それぞれ自社の特許が侵害されていないかどうか、証拠を探すことができるようになるのだ。

 McClean氏は、「中国企業が製造を開始すれば、実際に製品を見て確認できるようになる」と指摘する。

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