感情とIoTを融合させた新しいサービスモデルの提案:JASA発IoT通信(6)(4/6 ページ)
今回は、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)で検討を進めてきた感情とIoT(モノのインターネット)を融合させた新しいサービスモデルである「エモーションドリブンサービスモデル」について提案する。
エモーションキャッチセンサーとデータについて
エモーションキャッチセンサーは、カメラセンサー、バイタルセンサー、マイクセンサー、脳波センサーなどこれら以外にもさまざまなセンサーが考えられる。これらのセンサーから取得したデータを使用して感情を識別するが、センサーにはさまざまな特性があり、長所と短所が存在する。例えば、カメラセンサーの場合には、画像から顔を認識し、顔の表情から感情を推定するため、1枚の画像から瞬間的に感情を判断できるという長所がある。だが、1枚の画像から判断するため、撮影した画像がたまたま目を閉じていた、まぶしくて眉間にしわが寄っているというだけで、誤認識する可能性がある。
また、バイタルセンサーからエモーションを識別する際には、ある程度データを連続的に取得し、その連続データから識別する必要があるため、リアルタイム性には欠ける。しかしながら、バイタルデータは個人差が多い傾向があるため、個人的に取得し続けたデータを使用し、個人向けにカスタマイズされた識別アルゴリズムを使用することで精度が向上する可能性がある。これらの例のようにセンサーには長所、短所があるため、適用するユースケースに応じて、適切なセンサーを選択する必要がある。
エモーションWGでは、エモーションキャッチセンサーの種別、特徴、インタフェース、具体的な製品の調査を行い、エモーションキャッチセンサーと識別できる感情を組み合わせた表(エモーションキャッチセンサーマップ)を作成中である。(下図参考)。
このエモーションキャッチセンサーマップを利用すると、取得したい感情がどのエモーションキャッチセンサーを使用すれば識別できるのか、逆に、エモーションキャッチセンサーでどの感情が識別できるのかがすぐに分かるようになる。
エモーションセンサフュージョンシステム
前述したように、エモーションキャッチセンサーはさまざまな種類があり、それぞれ長所、短所が存在する。単一ではエモーションの識別としては精度が低いと考えられているエモーションキャッチセンサーも、他のエモーションキャッチセンサーと組み合わせることで、エモーション識別精度が高くなる可能性がある。
そこで、特性の異なる複数のエモーションキャッチセンサーをサービスユースケースに合わせて組み合わせたエモーションセンサーフュージョンシステムが必要になってくると考える。ここで、重要なのは同じ種類のセンサーでも特性が違えば、組み合わせることで精度が高まる可能性があることや、組み合わせによっては、全く識別精度が上がらない可能性もあるということである。
また、一般的にセンサーフュージョンシステムは、時間軸(サンプリングレート)や基準(心拍と温度など)の異なるデータを組み合わせるという難しさがある。これは、エモーションセンサフュージョンシステムにも当てはまる。
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