Xilinx、ASIL-C準拠のZynq UltraScale+MPSoC:ADASや自動運転システム向け(2/2 ページ)
Xilinxは、オートモーティブ事業において、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムに向けた製品展開を強化する。新たにASIL-C準拠の「XA Zynq UltraScale+MPSoC」を市場に投入した。
自動運転システムを構成するための柔軟性、拡張性
特に、自動運転システムを構成するためには、柔軟性や拡張性が不可欠だという。自動運転に必要なデータを収集するためのセンサーは、これからも進化を続ける可能性が高く、新たなセンサーの登場や搭載数の増加を考慮しておかなければならない。最新のアルゴリズムにも柔軟に対応する必要がある。
その一例としてLiDARを挙げた。30社以上が参入するLiDAR製品は、「ミラー回転方式」や「MEMS方式」「フラッシュ方式」「周波数変調方式」と、4つの異なる方式で実用化されているという。Xilinx製品はこれら方式のいずれにも対応することが可能である。物体の認識などを行うための画像処理手法も、All Programmable製品を用いると柔軟に対応することができるという。
「OEMメーカーは(自動運転という)新しいシステムにチャレンジしている。そうした中で、自らが固有の技術を保有しつつ、それをシステムに組み込むことで、競合メーカーと差異化した製品を一番先に市場投入したいと考えている」(Tu氏)という。これを実現するためには、XilinxのAll Programmable製品が最適だと主張する。その理由として競合製品に比べて、消費電力や信号遅延が小さく、周辺回路や部品の削減などによるコストダウンが可能なことなどを挙げた。
新たに出荷を始めたXA Zynq UltraScale+MPSoCファミリーも、ADASや自動運転システムの用途に向けた製品である。同ファミリーは、64ビットクアッドコア「ARM Cortex-A53」とデュアルコア「ARM Cortex-R5」をベースとするプロセッシングシステムと、プログラマブルロジック「UltraScale」アーキテクチャを1チップに集積したヘテロジニアス構成の製品である。このため、自動運転システムに必要なセンサーフュージョンと推論用AIエンジンの機能を、1チップで実現することも可能となる。
また、車載用半導体の信頼性試験規格「AEC Q-100」に準拠するとともに、認証機関のExidaより、ISO 262626 ASIL-Cレベルの認証を受けている。ヘテロジニアス構成のSoCでASIL-Cレベルの認証を受けたのは初めてだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Xilinx、FPGA/SoCからソフト企業へ
Xilinx(ザイリンクス)は、東京都内で「ザイリンクス開発者フォーラム 2017(XDF 2017)」を開催。クラウドベースアプリケーションのFPGA開発にフォーカスし、その効果や開発ツールの最新動向などを紹介した。 - 機械学習機能や5G無線を実現する最新FPGA
ザイリンクスは、「Embedded Technology 2017(ET 2017)/IoT Technology 2017」で、「Zynq UltraScale+RFSoC」のデモ展示や、「reVISIONスタック」を活用したビジョンシステムの開発事例などを紹介した。 - “FPGAaaS”は業界に浸透するのか?(後編)
「FPGAaaS(FPGA-as-a-Service:サービスとしてのFPGA)」というコンセプトが登場する中、FPGA業界に関わるメーカーは、フレームワークの構築やパートナーシップの締結などに向けて試行錯誤している。 - 超小型FPGAをエッジに、独自路線を進むLattice
小型で低消費電力のFPGAを手掛けるLattice Semiconductorは、クラウド市場に注力する他のFPGAベンダーとは明確に路線を分け、エッジ向けに力を入れる。 - Xilinx、エッジ〜クラウドの機械学習に対応
Xilinx(ザイリンクス)は、応答性に優れたビジョンシステムを極めて短い期間で開発することが可能となる「reVISIONスタック」を発表した。エッジからクラウドまで広範な機械学習(マシンラーニング)の処理を行うアクセラレーションプラットフォームを迅速に開発することができる。 - 自動運転でFPGAの期待値高まる、ザイリンクスがデモ
ザイリンクスは、「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)で、ディープラーニングを使った歩行者認識、IRカメラによるドライバーモニタリングシステム、Ethernet AVBを使った高速伝送のカメラシステムなど、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転向け技術をデモ展示した。