サーバ、スマホ、そしてIoTで高成長を維持! 電機/半導体業界2018年展望:大山聡の業界スコープ(1)(1/2 ページ)
新連載「大山聡の業界スコープ」。第1回は2018年のエレクトロニクス/半導体業界を占う。
エレクトロニクス/半導体業界の今は、どのような状況にあり、これからはどうなっていくのか――。
長くエレクトロニクス/半導体業界のアナリストを務め、現在はコンサルティング会社グロスバーグ代表の大山聡氏が、独自の視点でエレクトロニクス/半導体業界を分析する新連載「大山聡の業界スコープ」。第1回は、2018年のエレクトロニクス/半導体業界を展望する。
2017年に近い成長率が持続されるのでは
2018年11月、WSTS(世界半導体市場統計)は、2017年の世界半導体市場成長率(予想値)を20.6%と発表した。実績値の発表は2018年2月初旬になるだろうが、おおむねこの予想値に近い数値での着地が予想される。世界半導体市場規模は2015年、2016年とほとんど横ばいで推移してきたことを考えると、よくぞここまで伸びてくれた、というのが率直な感想である。
2018年の市場予測について、WSTSでは7.0%成長というかなり控えめな予測を発表している。だが、これにはWSTS特有の事情も含まれているものと思われ、筆者としてはこの予測を素直に受け入れることにやや抵抗を感じる。個人的には2017年に近い成長率が持続されるのではないかと思っており、ここではその辺の展望について述べてみたい。
けん引役となるサーバ・データセンタ関連
2017年の半導体市場で注目すべきは、何と言ってもメモリ市場の驚異的な伸びである。メモリ市場は2015年、2016年と2年連続でマイナス成長に甘んじていたが、2017年は前年比60.1%増という好況ぶりであった。特にクラウドコンピューティング(以下、クラウド)のインフラであるサーバ/データセンター向けの需要が旺盛だったことが主な要因と言えよう。
クラウドのシステム形態は10年以上前から世界中で普及してきたが、Amazon、Microsoft、IBM、Googleといったクラウドインフラ市場を代表する各社が事業領域を拡大し、サーバ/データセンターの需要増加に拍車をかけている。これら大手クラウド企業はいずれも米国企業。彼らが半導体需要を押し上げている結果、WSTSの地域別市場動向でも米州(南北アメリカ)市場の伸びが際立って高くなっている。また大手クラウド企業だけでなく、IoTによるサービスが次々と実現されるようになっていることも、サーバ/データセンター需要を押し上げる要因となっている、と言えよう。
サーバ/データセンター向けの半導体需要としては、マイクロ(MPU)、ロジック、メモリなどが挙げられるが、WSTSの製品別市場動向を見ると、メモリ以外は特に際立った伸びが見られない。
これは、HDDからSSDへの置き換えが進むことによって、NAND型フラッシュメモリの需要が伸びていることが要因の1つとして挙げられよう。HDDではスピードに限界がある、容量単価が高くてもSSDにシフトすべきだという動きは、2016年から徐々に始まっていた。HDDの需要もサーバ/データセンター向けに堅調に増えているが、SSDへの置き換えは今後も当面継続すると思われる。筆者が2018年も前年並みの成長が期待できると見ているのは、この動きが一過性のものではなく、中長期に渡って持続されると考えられるからだ。昨今の旺盛な設備投資で各メモリメーカーの供給能力も増加しており、需給バランスの見通しを懸念する声もあるが、2018年は供給不足状態が続く、と筆者は見ている。
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