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IoTの電力を担うエネルギーハーベスティングの可能性と課題JASA発IoT通信(7)(2/3 ページ)

IoT(モノのインターネット)の時代では、多くのセンサーが使用される。そうしたセンサーの電力コストや電池交換の手間を減らせるエネルギーハーベスティング技術について考察する。

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電力の新潮流 〜集中電源から分散電源へ〜

 ここでいったん、電力業界をめぐる大きなパラダイムシフトに触れておきたい。エネルギーハーベスティング技術は、IoTの文脈に置かれることが一般的だが、これから述べる電力業界の新潮流の枠組みで捉えてみても興味深い。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、国はエネルギー政策を大きくシフトチェンジしている。

 これまでのように大規模発電所から一方通行で電力を供給していた集中電源の時代から、ソーラーパネルなどの自然エネルギーの利用による分散電源の時代へ舵を切り、「分散・再エネ」「需給調整」がキーワードになった。さらにはこの大転換そのものを成長ドライバーとしようという野心的な戦略である。


集中電源(一方向型)と分散電源(双方型)のイメージ

 3.11以前においても、低炭素社会の実現のために再生可能エネルギー資源の導入の機運はあったが、FIT(固定価格買取制度)によって、太陽光を中心とする再生可能エネルギー資源が大幅に増えた。引き続いて国は蓄電池を広める戦略を採っているがその目的は大きく2つある。

 1つは自家消費の拡大、もう1つはVPP(Virtual Power Plant=仮想発電所)の構築である。

 FITの買い取り価格を下げて蓄電池の普及を促進すれば、自家消費を促すことができたり、電力のネットワーク化と組み合わせて地域全体を仮想的な発電所と見立て、分散エネルギーを効率的に利用することができたりするようになる。

再生可能エネルギーの課題

 夏のカンカン照りの日中は冷房のために最も電力需要が増える。逆に、一般的に電力需要が少ないのは春や秋のエアコンを使わない時期、特にオフィスや工場の稼働が少ないゴールデンウィークと言われている。また、家庭では朝と夕方、オフィスや工場では日中の電力消費が多い。

 しかし、太陽光や風力発電は必要な時に発電してくれるわけではない。これは一定の出力調整が可能な火力や原子力といった従来型の集中発電と大きく違う部分である。

 以下の図は太陽光発電と風力発電の1日の発電量を示したものである。


太陽光発電(左)と風力発電(右)の1日の発電量イメージ

 分散電源を集めてVPPを構築する場合、この自然エネルギーならではの特長を解消または軽減するために蓄電池が活用される。需要に対して供給が比較的多い(電力が余っている)ところから、需要に対する供給が少ない(電力不足)ところにタイムシフトするためには蓄電池が必須になる。

 経済産業省が発表した2030年のエネルギーミックスの見通しでは、再生可能エネルギーは22〜24%程度を占めることになるが、これには蓄電池の普及が前提となっている。

 つまり、自然エネルギーと蓄電システムはワンセットなのである。

エネルギーハーベスティングの課題

 再生可能エネルギーはメガソーラーから家庭用太陽光発電のkWクラスまで、エネルギーハーベスティングデバイスはミリワットからマイクロワットオーダーが中心であるといったスケール感の違いはあるが、自然エネルギーを分散エネルギーとして活用する際の、

  • 必要な時に必要な量を供給できるわけではない
  • 発電量が不安定である

といった課題は共通する。

 無線化されたIoTノードは、発電したタイミングと送信のために電気を使うタイミングが必ずしも一致しないし、そもそも一定の電力量までたまらないと通信できるだけの電力量が賄えない場合もあるだろう。

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