PSoC 6でLoRaWANシステムの導入を簡素化する:CypressとESCRYPTが協業
Cypress Semiconductorは、同社の「PSoC 6 MCU」を、ESCRYPTのキープロビジョニングおよび管理API(Application Programming Interface)と組み合わせることで、安全なLoRaWANシステムを迅速に導入できるようにすることを目指す。
LoRaWANキーの管理APIをPSoC 6に統合
Cypress Semiconductor(以下、Cypress)は2018年2月20日(米国時間)、IoT(モノのインターネット)セキュリティプロバイダーであるESCRYPTと協業し、LoRaWAN オープン プロトコルを使用するアプリケーション向けに、安全性の高いMCU(マイコン)を提供すると発表した。
具体的には、ESCRYPTのLoRaWANキーのプロビジョニングおよび管理API(Application Programming Interface)が、Cypressの「PSoC 6 BLE(Bluetooth Low Energy) MCU」に統合される。LoRaWANキーの保護、管理ができる他、安全なLoRaWANシステムを迅速に導入することができるようになるという。PSoC 6 BLE MCUは、低消費電力のデュアルコアMCUで、BLE接続機能、隔離実行環境、セキュアエレメント機能、高速暗号エンジンといったハードウェアベースのセキュリティを内蔵している。
LoRaWANネットワークを利用するスマートシティーおよびインダストリアルIoTは、センサーの集約や制御、無線スタック操作のための処理が必要になる。
無線スタックでは、セキュリティ操作に2つの「AES(Advanced Encryption Standard)-128」の暗号キーを使用する。1つはネットワークサーバのパケットデータ認証用、もう1つはアプリケーションサーバのパケット復号用だ。PSoC 6 MCUは、これらのキーが暗号操作のみに使用され、他のプログラムからはアクセスできないようにする。
さらに、PSoC 6 MCUのセキュアブート機能によって、起動時にも安全な状態が確保される。PSoC 6 MCUには、これらのセキュリティ機能の他にも、オフチャネル通信用のBLEや、センサーハブ機能としても使用できる処理性能を備えていて、ワンチップのLoRaWANホストMCUを実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニーが独自LPWAを展示、100km超の通信を実現
ソニーセミコンダクタソリューションズは、「Smart Sensing 2017」で、独自開発の低消費電力広域(LPWA:Low Power Wide Area)ネットワーク技術について紹介した。2017年4月に発表したもの。極めて遠い距離や高速移動中の車両からでも安定した無線通信が行える。こうしたいくつかの実験データを示した。 - 新しい半導体の流れを作る、IoTと5G
新しい半導体の流れを作るとみられる「IoT&5G」。IHS Markitは中国が取り組む新たな戦略や、IoT(モノのインターネット)と自動車市場をめぐる半導体メーカーの取り組みなどを紹介した。 - 車載半導体市場の現状と今後のゆくえ
車載半導体市場の現状を踏まえながら、今後、車載半導体市場がどのように変わろうとしているのかについて展望していく。 - IoTの効果を高める「エッジ」とは何か
産業向けIoTを実現できれば、機器のダウンタイムを短縮でき、効率的な保守管理が可能になる。運用コストの大幅な低減だ。そのためにはセンサーとクラウド以外にも必要な要素がある。Hewlett Packard Enterpriseの責任者に聞いた。 - IoT時代で勝つには“組み込み視点”の議論が必要だ
EE Times Japanでは、組込みシステム技術協会(JASA)とスキルマネージメント協会(SMA)が推進する「IoT技術高度化委員会」とコラボレーションし、連載「JASA発IoT通信」をお届けしていく。連載第1回目は、同委員会で主査を務める竹田彰彦氏のインタビューを紹介する。 - 「日本の半導体業界の将来は明るい」 SEMI語る
SEMIジャパンは、SEMIの活動に関する説明会を都内で開催した。SEMIジャパン代表の中村修氏は、「IoTによる200mmファブの需要拡大で、日本の半導体業界の将来は明るい」と語る。