コネクテッドカー(乗用車)、2035年に1億台超:自動運転技術との融合進む
外部通信ネットワークと常時接続が可能なコネクテッドカー(乗用車)の新車販売台数は、2035年に1億1000万台を超える見通しだ。新車販売に占めるその構成比率は96.3%に達することになる。
通信機能、今後は大衆車クラスにも標準搭載
富士経済は2018年2月、コネクテッドカー(乗用車)とそれに関連する世界市場を調査し、その結果を発表した。予測によると2035年には、世界で販売される新車のうち、96.3%がコネクテッドカーになる見通しだ
富士経済は、自動運転技術との融合が進むコネクテッドカーやサイバーセキュリティに対する取り組み、AI(人工知能)と自動車の関連性、テレマティクスサービスなど、35品目の市場について調査し、将来の市場を予測した。
調査によると、外部通信ネットワークと常時接続が可能なコネクテッドカー(乗用車)の世界市場は、2017年に新車販売台数ベースで2375万台となった。その構成比は全体の34.1%とみている。2035年には1億1010万台に膨らむと予測され、構成比も96.3%に高まる見通しだ。
通信機能の利用形態は、通信モジュールを車載システムに標準搭載した「エンベデッド型」や、モバイル端末などの通信機能を利用する「モバイル連携/テザリング型」などがあり、現在はこれらが主流となっている。今後はエンベデッド型が大衆車クラスにも普及し、市場が急速に拡大するとみられている。
注目する3つの市場
富士経済は、調査品目の中から、「テレマティクス自動車保険」「HUD(ヘッドアップディスプレイ」「ミラーレスシステム(電子ミラー)」の3分野を注目市場として挙げた。
テレマティクス自動車保険(加入者累計ベース)は、通信技術を活用して収集したデータを、運転者の保険料に反映させる保険商品および、サービスである。走行距離に連動した「Payd(Pay as You Drive)型」と、運転者の運転特性に連動した「Phyd(Pay How You Drive)型」があるという。加入者数は2017年の3170万件に対して、2035年には2億3200万件になると予測した。
HUD市場は、2017年見込みの627億円に対して、2035年は2312億円と予測している。HUDは光源によってLCD、VFD、DLP、レーザーの4種類ある。投影方式にはウインドシールド方式とコンバイナー方式が用意されている。HUDはこれまで欧米の高級車を中心に普及してきたが、これからは大衆車への搭載も進む。特に、ADAS(先進運転支援システム)との機能連携などにより、標準搭載となる可能性が高いとみている。
ミラーレスシステムは、従来のサイドミラーやルームミラーに代えて、カメラとディスプレイを用いて運転者の後方視覚を確保するシステムである。死角解消に加えて、自動運転につながる技術の1つとして期待されている。このため市場規模も2017年の10億円に対して、2035年は425億円に拡大すると予測した。
富士経済は、2017年10月〜2018年1月に、専門調査員による関連企業や団体へのヒアリング、関連文献や社内データベースを活用して調査を行った。調査対象は、コネクティビティサービス、コネクティビティハードウェア/デバイス、コックピット/ヒューマンインタフェース、ワイヤレスソリューション/V2X、サイバーセキュリティなど、多岐にわたる。その結果を、「コネクテッドカー関連市場の現状とテレマティクス戦略 2018」として報告書にまとめた。
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