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“お蔵入りチップ”が掘り出し物に? Intel FPGAが示す過去の半導体の価値この10年で起こったこと、次の10年で起こること(24)(2/3 ページ)

Intel FPGAとして発表された「Cyclone 10 LP」。これには、約10年前のプロセスとシリコンが使われている。これは、何を意味しているのだろうか。

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2009年のシリコンが使われている!?

 図2は、Cyclone 10 LPのチップ開封および電子顕微鏡でチップコーナー部を拡大した写真である。Cyclone 10 LPのチップコーナー部に搭載されるチップ上の型名、年号なども確認した。2017年に発表され、販売開始されたチップではあるが、チップを開封し顕微鏡で観察すると、シリコン上の年号は、発表よりも8年も前、なんと2009年であった!!!! 一体これは何を意味しているのだろうか。


図2:Cyclone 10 LPは、Altera製2009年のチップを用いている 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 2009年当時の最先端プロセスで開発された本チップは、当時の市場ではフィットせず(帯に短し襷に長し、だったのだろう)、設計開発は(恐らく試作も)終わっていたが、お蔵入りとなった……のではないだろうか。

 当時は最先端で高価だった60nmプロセスも、その後10年近い歳月を経て成熟し、安価なプロセスとなった。トランジスタ長が大きいためリーク電力が小さく、現在の市場要求にフィットするものとして“蔵出し”され、Cyclone10 LPのネームを与えて発売に至ったものと思われる。

 Cyclone IV(60nmで製造されているが、ラインアップを見ると、Cyclone 10 LPに相当する仕様のチップは存在していない)の幾つかはCyclone 10 LPの仕様に似通っているが、LEの数が異なるなど一致しているわけではない。

 表1に2009年に発売になったClyclone IVのチップ開封と、2017年に発売になったCyclone 10 LPの比較を掲載する。似通ったチップだが微妙に細部が異なっている。一致しているのはチップ上の年号と基本構造だけである。Cyclone 10 LPは、8年の歳月を経て日の目を見たわけだ。


表1:Cyclone 10 LPと「Cyclone IV」の比較 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

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