20万円で始められる、ADIのIoTプラットフォーム:「まずはPoCレベルで」に応える(2/2 ページ)
アナログ・デバイセズ(ADI)は、「第7回 IoT/M2M展 春」(2018年5月9〜11日、東京ビッグサイト)で、IoT(モノのインターネット)向けプラットフォームや、構造物モニタリングなどに適用できる低ノイズのMEMS加速度センサーなどを展示した。
“2個並列”で、高価格センサーと同等性能に
構造物のヘルスモニタリング向けとして、mtes Neural Networksが、ADIのMEMS加速度センサーとマイコンを使用したゲートウェイを展示した。橋梁に取り付けて、地震が発生した際の橋の振動をモニタリングするもので、25μg/√Hzという超低ノイズの加速度センサー「ADXL355」と、Armの「Cortex-M3」マイコン「ADuCM3029」を用いている。
一般的に、構造物のヘルスモニタリングに使用できる性能を持つ超低ノイズの加速度センサーは、価格が数十万円に上ることもある。mtes Neural Networksは、ADXL355を2個並列し、独自の適応信号処理を行うことで、1個数十万円の加速度センサーと同等レベルの性能が出るようなゲートウェイを開発した。「安価なヘルスモニタリング向け製品は、鉄道業界や建設業界からのニーズが高い。ADXL355を2個並列することで、これまで100万〜200万円だったゲートウェイの価格帯を、10分の1くらいに抑えられている」(mtes Neural Networks)
PSMを使った故障予知
データセンターなど向けには、最大90Wの電力を伝送できるPoE(Power over Ethernet)用のコントロールICや、PSM(Power System Management)を使って電源の故障予知を行うソリューションなどを紹介した。ADIによれば、PSMを使って電力を監視したいという要望は多いという。データセンターのように多数のサーバが並ぶ場所では、電源の数もそれだけ多くなる。そうした環境で1つ1つ電圧や電流を監視するのは現実的ではないので、PSMを利用して、電力をモニタリングする機能を最初から機器に組み込んでしまうという狙いだ。
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