MediaTekがASIC事業強化、7nmと豊富なIPで勝負:年間15億ユニットの出荷実績も(1/2 ページ)
台湾MediaTekは、ASIC事業を強化する。システムの技術革新につながる最新IPコアの開発などにも取り組む。
顧客に対応する柔軟なビジネスモデルを用意
台湾MediaTekは、システムの技術革新につながるIPコアの開発などにより、ASIC事業を強化する。ASICサービス向けに7nm FinFETプロセスで利用できる56Gビット/秒(bps)対応のSerDes IP(Intellectual Property)コアも新たに用意した。
同社は、スマートフォンや民生電子機器、車載電子機器など、さまざまな用途に向けたSoC(System on Chip)やASSP製品で多くの出荷実績を持つファブレス半導体メーカーである。幅広い用途に対応するため豊富なIPコア製品を用意している。チップ製造についても、TSMCなどのファウンドリーと協業し、7nmプロセスを用いた先端ASICの製造体制も整えた。
同社は5年ほど前からASIC事業への取り組みを強化している。MediaTekのコーポレートバイスプレジデント兼インテリジェントデバイス事業グループ担当副ゼネラルマネジャーを務めるJC Hsu氏は、「近年、インターネット企業やクラウドプロバイダーが事業を拡大している。これらの企業は単なるサービスの提供にとどまらない。独自に開発したASICチップなどを活用することで顧客にイノベーションを提供し、自らの事業を成功させる姿を想定している」と話す。
ただし、全てのシステムベンダーがIC設計に関する専門知識やノウハウを蓄積しているわけではない。これらの中には外部の設計パートナー企業と協力して、競合他社と差異化するためのユニークなASIC開発に取り組もうとしている。こうした状況を踏まえて、「ASICのビジネスチャンスが拡大している」(Hsu氏)という。
特に、ビットコインのマイニング用途では、高性能CPUやGPUに比べて消費電力の節減を可能にするASICの開発要求が高い。この他、AI(人工知能)や車両の自動運転/ADAS(先進運転支援システム)といった用途で、ASICの需要が顕在化しているという。
こうした中で、ASIC事業におけるMediaTekの優位性をいくつか挙げた。例えば、さまざまな分野に向けて用意している豊富なIPコア製品群、プロセスノード7nmにも対応する最先端の設計技術、アナログ回路やRF回路を含めたシステムレベルの設計手法。そして、現行のSoCやASSP製品を含めた年間15億ユニットにも及ぶ出荷実績である。
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