積極増産投資、カスタム対応で日本の競合に対抗:Infineonのパワー半導体戦略(1/3 ページ)
Infineon Technologies(日本法人:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン)は2018年7月3日、都内でパワー半導体事業に関する記者会見を開き、国内パワー半導体市場でのシェア向上に向けた取り組みなどについて説明を行った。
日本でも、5年後には世界パワー半導体市場と同じ水準のシェアを獲得する――。
Infineon Technologies(日本法人:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン)は2018年7月3日、都内でパワー半導体事業に関する記者会見を開き、国内パワー半導体市場でのシェア向上に向けた取り組みなどについて説明を行った。
調査会社であるIHS Markitによると、2016年の世界パワー半導体市場におけるInfineonのシェアは18.5%。同社のパワー半導体事業部門「インダストリアルパワーコントロール(IPC)事業部」のプレジデントを務めるPeter Wawer氏は「シェア2位のON Semiconductorの2倍に相当する強いポジションを構築している」と胸を張る。直近のIPC事業部門の業績も、2018年9月期第2四半期(2018年1〜3月)売上高で前年同期比8%増を達成するなど、持続的な成長を遂げているという。
Infineon Technologiesの主力製品市場におけるメーカー別世界シェア。中央が2016年における世界パワー半導体市場シェア (クリックで拡大) 出典:Infineon Technologies
Wawer氏は、高シェアを獲得しながら事業規模を成長を遂げている要因について「従来のパワー半導体用途である駆動系、産業系の需要は引き続き強い上に、新規成長用途が生まれており、パワー半導体の需要自体が拡大している。そうした中で、Infineonは積極的に投資を行い、生産数量を大きく拡大し、供給量を確保してきた」と説明する。
設備投資規模をさらに拡大
設備投資については、これまでIPC事業部売上高の約13%相当を設備投資に充当し、パワー半導体前工程製造の主力拠点であるドレスデン工場(ドイツ)300mmウエハーライン、クリム工場200mmウエハーライン(マレーシア)を中心に生産能力の増強を実施してきた。
パワー半導体の主力製造拠点であるドレスデン工場300mmウエハー対応ライン(左)とクリム工場の生産能力推移と、生産能力増強計画イメージ (クリックで拡大) 出典:Infineon Technologies
「設備投資については今後も、積極的に実施する。今後は、IPC事業部売上高の15%相当を設備投資に投じる計画で、今後、数年間に限っては15%を上回る規模での投資を計画している」と明かす。今後の投資先は、ドレスデン工場、クリム工場に加え、300mmウエハーラインの新設を決定したフィラッハ工場(オーストリア)が主になる。フィラッハ工場300mmウエハーラインについては、2019年上半期に着工し、2021年からの稼働を予定する。投資規模は今後6年間で約16億ユーロ(約2070億円)を見込む。「フィラッハ工場への投資により、今後数年間の設備投資規模が高水準になる。フィラッハ工場300mmウエハーラインがフル稼働すれば、ドレスデン工場も含めて(Infineonの)パワー半導体生産の50%程度が300mmウエハーによる製造になる見込み」(Wawer氏)
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