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光変調器の試作例(電界吸収(EA)変調器)とまとめ(前編)福田昭のデバイス通信(153) imecが語る最新のシリコンフォトニクス技術(13)(1/2 ページ)

今回は、エレクトロアブソープション効果(フランツケルディッシュ効果)を利用する変調器(EA変調器)を解説する。さらに、EA変調器でゲルマニウムシリコン(GeSi)を使う理由も併せて説明する。

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電界によって光吸収の量を制御する変調器

 半導体デバイス技術に関する国際会議「IEDM」では、カンファレンスの前々日に「チュートリアル(Tutorial)」と呼ぶ技術セミナーを開催している。2017年12月に開催されたIEDMでは、6件のチュートリアルが開催された。

 その中から、シリコンフォトニクスに関する講座「Silicon Photonics for Next-Generation Optical Interconnects(次世代光接続に向けたシリコンフォトニクス)」が興味深かったので、その概要をシリーズでお届けしている。講演者は、ベルギーの研究開発機関imecのJoris Van Campenhout氏である。

 なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。

 前回は、シリコンフォトニクスの代表的な3種類の光変調器の中で「マッハツェンダ変調器(MZ変調器)」と「リング変調器」の試作例から、実際の構造と性能を報告した。今回と次回は、残りの光変調器である「電界吸収変調器(EA:Electro-Absorption)変調器)」の構造と試作品の性能をご紹介するとともに、これまでに学術論文などで報告された3種類の光変調器の性能をまとめて示そう。

 「電界吸収変調器(EA変調器)」は、本シリーズで既に説明したように「フランツケルディッシュ(Franz-Keldysh)効果」と呼ぶ物理現象を利用した変調器である。「フランツケルディッシュ(Franz-Keldysh)効果」とは、半導体に高い電界を外部から加えると、エネルギーバンドギャップ(バンドギャップ)に相当する波長(基礎吸収端)が長波長側にずれる(見かけ上はバンドギャップが狭くなる)現象を指す。この効果を利用すると、バンドギャップよりも少しだけ波長の長い光の吸収量を、電界の大小によって大きくしたり、小さくしたりできる。すなわち光を変調できる。


シリコンフォトニクスの主な外部変調器。前回はエレクトロリフラクティブ効果を利用する変調器について説明した。今回は、エレクトロアブソープション効果(フランツケルディッシュ効果)を利用する変調器を解説する(クリックで拡大)

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