大規模データセンターをめぐる競争が激化:初めて遭遇する課題も出てきた(1/2 ページ)
Web大手各社は、これまでにない大規模な分散コンピュータネットワークの構築をめぐり、「ムーアの法則」のごとく、競争の中に置かれているような状態にある。コンピュータサイエンスの歴史書に新たな章が書き加えられようとしているところだが、その動きがどこに向かっているのかは不明だ。
Web大手各社は、これまでにない大規模な分散コンピュータネットワークの構築をめぐり、「ムーアの法則」のごとく、競争の中に置かれているような状態にある。コンピュータサイエンスの歴史書に新たな章が書き加えられようとしているところだが、その動きがどこに向かっているのかは不明だ。
例えばFacebookは、過去10年の間に、15カ所の大規模なデータセンターと数百個のエッジネットワーキングサイトから成る、グローバルネットワークを構築してきた。このネットワークは、数千個のプログラムを動作させることによって、数十億人のユーザーをサポートし、約2時間ごとにコードをアップデートするという。
「これまで発生したことがない問題ばかり」
Facebookは2018年7月19日(米国時間)に、大規模分散システムの開発者会議「Systems @Scale」を本社で開催。同社のエンジニアリング/インフラストラクチャ部門の責任者であるJay Parikh氏は、その中で、「現在構築している分散システムは、数十億人もの人々に毎日影響を与えることになる。これは、素晴らしいと同時に恐ろしくもある」と述べている。Systems @Scaleは、Facebookのプログラマーが他社のプログラマーと交流することを目的とし、彼らが直面している大規模分散システムの課題に対する共通の解決策の発見を加速させることを目指している。
同氏は、Facebookの従業員や招待客など、約200人の技術者たちに向けて、「われわれが現在対応している分散システム関連の問題は全て、拡大の一途にある環境下で、これまでに発生したことがないようなものばかりだ。例えば、独自開発ケーブルの海底敷設などは、これまでわれわれの業界で対応する必要がなかった」と語った。
また同氏は、「コンピュータや、ネットワークハードウェア、データベース、各種ソフトウェアなどの分野における課題は、相互に影響を及ぼし合っている。あらゆるものが全て接続されているため、さまざまな問題が生じるのだ」と付け加えた。
今回のイベントでは、Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Lyft、Shopifyなどの企業のプログラマーによる討論も行われた。世界規模の分散型データベースの管理から、デバッギングシステムに至るまで、幅広い分野の課題について、システム機能停止からの回復を早めるという方法に基づき、最先端技術に関する情報が共有された。
Facebookは、オープンソースとして発表した2つの分散ソフトウェアシステムの機能について議論している。コンフィギュレーション変更を数百万台ものサーバに対して迅速に推進するためのフレームワークと、OSのユーザースペースの中の故障メモリの問題に対応するためのコードだ。
これらは、Facebookが、広く普及している同社の4つのアプリケーション「News Feed」と「Instagram」「Messenger」「WhatsApp」の他、「Oculus」ソフトウェアユーザーの小規模グループをサポートするために構築した、大規模なクラウドコンピューティングソフトウェアプラットフォームの一部として機能している。
Facebookはこれまで、自社ネットワークの既成ハードウェアやソフトウェアコンポーネントを、独自開発したオープンソースのボックスおよびプログラムに、少しずつ置き換えてきたという。例えば、同社はここ数年の間に、既成のデータベース(MySQL)やストレージ(Memcached)プログラム、同社のウェブ対応言語(PHP)などを、オープンソース化した自社開発コードに置き換えている。
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