検索
ニュース

音声再生専用ハード搭載でCPUの負荷を低減するマイコンセイコーエプソン(1/2 ページ)

セイコーエプソンは2018年7月31日、音声再生専用のハードウェアを搭載した32ビットマイコン「S1C31D50」を発表した。給湯器リモコンや家電、音声でアラートを発する火災警報器など、音声をクリアに出力する必要がある組み込み機器に向ける。

Share
Tweet
LINE
Hatena

音声再生処理に特化したハードを搭載


QFP15-100パッケージの「S1C31D50」

 セイコーエプソンは2018年7月31日、音声再生専用のハードウェアを搭載した32ビットマイコン「S1C31D50」を発表した。給湯器リモコンや家電、音声でアラートを発する火災警報器など、音声をクリアに出力する必要がある用途に向ける。サンプル出荷は既に開始していて、サンプル価格は、パッケージタイプがQFP15-100の製品で1050円(税別)。量産開始は2018年内を予定している。

 S1C31D50は、Armの「Cortex-M0+」に加え、セイコーエプソンが開発した音声再生専用のハードウェア「HW Processor」を搭載。音声再生処理とメモリ自己診断をHW Processorが行うことで、CPUの負荷を減らすことができる。

 「データをメモリから取得し、デコードして音声を出力する」という音声処理は、ソフトウェアや、外付けの音声ICを使用するのが一般的になっている。S1C31D50では、この一連の音声処理をHW Processorが行う。これによって、音声を再生している時でも、CPUに、例えば給湯器のお湯の温度調整など、必要な処理を行わせることができる。


「S1C31D50」のブロック図。ピンク色の「HW Processor」が、音声処理とメモリ自己診断を行う 出典:セイコーエプソン(クリックで拡大)

 セイコーエプソンは、「S1C31D50のコンセプトは、CPUを完全にフリーにして、音声再生中でもフルオペレーションを可能にすることだ。顧客からは、『ソフトウェアで処理をしていると、プロセッサの稼働がピークになっている時に、どうしても音声が途切れてしまうことがある』という課題を聞いている。そうした課題を解決したかった」と説明する。「当社はもともと、オーディオ向けの信号処理技術に強みを持っており、その技術を応用してHW Processorを作りこんだ」(同社)

 S1C31D50では、1チップで2チャンネルの音声再生機能を実現。2チャンネル搭載しているので、例えば1チャンネルを音声、もう1チャンネルをBGM(Back Ground Music)に使うことができる。音質を変えずに、再生スピードを変更することも可能だ。

 音声データの圧縮には、セイコーエプソン独自に開発し、オーディオ向けなどで適用してきた「EOV(Epson Original Voice」という手法を用いている。これにより、ADPCM(適応的差分パルス符号変調)に比べ、音声ROMのサイズを3分の2〜4分の1に低減できるという。その分、複数の言語の音声を入れたり、高音質のBGMを入れたりすることができるようになる。


「EOV」を使うことで、ROMサイズを大幅に圧縮できる 出典:セイコーエプソン(クリックで拡大)

 メモリ自己診断機能では、CPUリソースを使わずに、内蔵RAM、内蔵フラッシュメモリ、外付けのQSPI(Quad SPI)フラッシュメモリの故障を検知できる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る