米国CBRS商用提供へ向けて、日本通信がFCCに免許申請:5Gサービスの一部として注目集まる
日本通信は、米国連邦通信委員会(FCC)に申請していた周波数時限免許(STA)が、2018年8月22日(米国時間)に正式受理されたと発表。米国のCBRS商用サービス開始に向けた準備を進めていく。
米国大手顧客と試験運用の準備進める
日本通信は、米国連邦通信委員会(FCC)に申請していた周波数時限免許(STA:Special Temporary Authority)が、2018年8月22日(米国時間)に正式受理されたと発表した。米国で準備中のCBRS(Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)商用サービス提供に向けて、システムの評価や運用試験を行う。
米国では、海軍レーダー用の3.5GHz帯(3550M〜3700MHz)について、民間との共同利用を連邦政府が2015年に認めた。FCCはこれを受け、CBRSとして民間への周波数開放に取り組んでいる。米国の携帯事業者は、CBRSを5G(第5世代移動通信)サービスの一部として利用することを検討しており、関心が高まっている。同社の他、GoogleやComcast、Microsoft、Intel、Boeing、AT&Tといった企業がSTAを申請しているという。
CBRSのライセンス形態は、「GAA(General Authorized Access)」「PAL(Priority Access License)」および、「Incumbent Access」と3つのカテゴリーに分かれている。周波数割り当ては、SAS(Spectrum Access System)と呼ばれるデータベースにより、基地局から動的に制御されるという。例えば、GAAカテゴリーの事業者は、空きがあれば150MHz全ての周波数帯域を利用できる。PALカテゴリーだと、10MHzずつ7事業者に免許が与えられることになっている。
日本通信は、米国コロラド州の4カ所にCBRS用基地局を設置し、屋内外においてシステムの検証などを行っていく予定である。商用サービス提供に向けてCBRSの周波数帯域が開放されれば、米国の大手顧客と商用サービスの試験運用を始められるよう準備を進める。
同社は既に、実験局免許を付与されたアイルランドで、日本のu-LTE(unlicenced LTE)周波数帯(1.9GHz帯)と、米国CBRS周波数(3.5GHz)の20MHz帯域を活用した屋外実験を行っている。
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