LEDへ地道に取り組むオスラム、次世代の光技術を聞く:植物工場にビジネスチャンスを見る(1/3 ページ)
可視光LEDや赤外LED、半導体レーザーなどオプトエレクトロニクス製品の専門メーカーであるOSRAM Opto Semiconductors。同社の一般照明事業でCEO(最高経営責任者)を務めるEmmanuel Dieppedalle氏に、同社製品の最新動向や今後の研究開発方針、そしてビジネスの展望を聞いた。
可視光LEDや赤外LED、半導体レーザーなどオプトエレクトロニクス製品の専門メーカーであるOSRAM Opto Semiconductors。
同社は、車載や産業機器、モバイルなどを含めた民生機器、そして一般照明向けに幅広い種類の光源を提供する。現在、同社は可視光LEDパッケージの金額ベースシェアで世界第2位(IHS Markit調べ)の地位を築いており、今後のさらなるシェア拡大を狙い製造部門への投資や新技術の開発などを積極的に進めている(関連記事:オスラム、一般照明向けLED事業を強化)。
OSRAM Opto Semiconductorsは、LEDを中核とするオプトエレクトロニクスビジネスをどのように見据えているのか。同社が今後の成長軸として推進する「一般照明(General Lighting)」事業でCEO(最高経営責任者)を務めるEmmanuel Dieppedalle氏に、同社製品の最新動向や今後の研究開発方針、そしてビジネスの展望を聞いた。
日本市場で顧客から求められること
EE Times Japan(以下、EETJ) OSRAM Opto Semiconductorsは、さまざまな種類のオプトエレクトロニクスを手掛けています。ここで、製品の一貫した強みはどこから生まれるのでしょうか。
Emmanuel Dieppedalle氏 われわれは、LEDをダイから製造する数少ないメーカーの1社だ。チップは他のサプライヤーの物を使い、アセンブリは外注をしているメーカーが多く存在する中で、われわれはチップの製造からアセンブリまで、LEDの製造を自社で全てコントロールできる。LEDのチップ単位で、性能や信頼性、品質について高い水準を維持できることがわれわれの強みといえる。
日本の顧客には、このポイントが特に重要となる。日本の顧客は、製品の製造を自社で全てコントロールできるサプライヤーと関係を持ちたいという傾向があるようだ。われわれは、顧客の要望に対して柔軟かつカスタマイズした対応を行うことができる。
EETJ 2017年11月には、マレーシアで建設していた6インチウエハー対応のLEDチップ新工場が稼働を開始したと発表されました。OSRAM Opto Semiconductorsの一般照明事業はどのような事業体制を採っていますか。
Dieppedalle氏 OSRAMは2015年11月に、総額約30億ユーロに上る投資を決定した。この投資は私がOSRAMへ参画する契機にもなり、一般照明事業に大きなリソースが加わるタイミングとなった。一般照明事業の本社はマレーシア・ペナンに構えており、マーケティングや営業、研究開発部門など全てのビジネス機能を集積する拠点としている。
新工場は2015年大型投資の一施策で、3億7000万ユーロを投資しマレーシア・クリムに建設した。クリム工場は、光出力が0.2〜1.0W程度となるミッドパワークラスと1W以上となるハイパワークラスのチップ生産について、前工程を担当する。同種の工場では、世界でも最大で最新鋭の生産工場だ。ミッドパワーは既に生産を開始しており、ハイパワーの生産も現在立ち上げ中で2018年末には生産を開始する計画だ。
このタイミングで、LEDチップ生産の前工程を全てクリム工場に移管する。パッケージングを含むアセンブリについては、それぞれの製品種別や地域性に応じて、クリム工場とペナン工場、そして中国の無錫工場で担当する。
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