日立化成、半導体材料などでも不適切検査 ―― 2400社に影響:新たに29製品が判明(1/2 ページ)
日立化成は2018年11月2日、不適切な検査が行われていた製品が、同年6月に報じられた産業用鉛蓄電池以外にも新たに判明したとして、東京都内で緊急記者説明会を実施した。
新たに29製品で不適切検査
日立化成は2018年11月2日、不適切な検査が行われていた製品が、同年6月に報じられた産業用鉛蓄電池以外にも新たに判明したとして、東京都内で緊急記者説明会を実施した。
新たに不適切な検査が判明した製品は、CMPスラリーやダイボンディング材料、封止材などの半導体用材料、配線板や配線板用プロセス材料、樹脂成形品や粉末冶金製品などの自動車部品など、29製品に上る。
不適切検査の内容としては、「顧客と取り決めていた検査を怠っていた」「顧客との取り決めとは異なる検査方法で検査を行っていた」「実測値とは異なる数値を検査報告書に記載していた」「測定機器の変更について顧客に届け出をしなかった」という4つ。
今回判明した、不適切な検査が行われていた製品の売上収益比率は、日立化成の連結売上収益の約1割に相当する。また、影響を受ける顧客数は約1900社(延べ数)に上るとしている。なお、日立化成の社長兼CEOを務める丸山寿氏によれば、現時点では、これらの製品について不具合、安全上の問題、法令違反は認められていないとする。
丸山氏によれば、日立化成が国内に所有する7つの事業所の全てで、何らかの不適切な検査が行われていたという。海外の事業所については、調査を進めているさなかで、現時点では公表できるデータはまだそろっていないが、影響を受ける顧客数が飛び抜けて増えるといったことはないと考えているとしている。不適切検査が行われていた期間について丸山氏は、「最終報告書で語られることにはなるが、私の理解では、ここ5年以上にわたり行われていた製品も一部あると認識している」と述べた。
現在、顧客に順次説明し、顧客とともに性能の確認などを行っているさなかだという。ただし一部の顧客には、まだ十分に説明できていないところもあり、速やかに行っていくとする。
産業用鉛蓄電池の不適切検査を調査する過程で発覚
同社は2018年6月に、産業用鉛蓄電池の一部製品について、検査成績書への不適切な記載があったと発表。7月に特別調査委員会を設置し、調査を進めてきた。今回は、その調査過程で明らかになったもの。同年10月29日には、一部で報じられていた半導体用エポキシ樹脂封資材の不適切検査について、ほぼ認める発表を行っていた。影響を受ける顧客数は、産業用鉛蓄電池では約500社。今回の発覚分と合わせると約2400社に上る。
丸山氏は、「産業用鉛蓄電池の調査を行う際、日立化成の信頼を取り戻すために、徹底的にうみを出したいと考えた。そこで、他に不正があるならこの機会に報告してほしいと、危機感を持って私自身が社員に直接、訴えた。調査委員会の方でも、社員へのアンケートや内部通報制度、社員の電子メールのチェックなどを通し、確認していった。そうした過程で、判明したものだ。会社に申し出てくれた社員もたくさんいる」と述べた。
29製品についての不適切検査は、アンケート結果が出そろってきた2018年8月くらいから判明し始めたという。不適切検査が行われていた製品の洗い出しと確認がほぼ取れたのがここ数日だったため、このタイミングでの発表となった。
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