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口に出せない介護問題の真実 〜「働き方改革」の問題点とは何なのか世界を「数字」で回してみよう(53) 働き方改革(12)(9/10 ページ)

今回は、介護に関する「働き方改革」の問題点に迫ります。本稿をお読みいただき、政府が声高にうたう「働き方改革」が現実に即しているかどうかを、ぜひ皆さまなりに考えてみてください。

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「介護」に関する「働き方改革」の問題点

 それでは、今回のコラムの内容をまとめてみたいと思います。


【1】政府主導の「働き方改革」の重要項目の1つである「子育て、介護、障害者就労」から、「介護」の(i)高齢者の幸せ、(ii)高齢者の労働力による経済効果、(iii)数理モデルを使った認知症患者の心理の数値的アプローチを試みました。

【2】高齢者の幸せな生き方に関しては、2つの学説「活動理論」と「離脱理論」の2つがあり、「結論がない」という結論で終結していることを紹介しました。高齢者を、”高齢者”という言葉だけで把握することに無理であるからです。

【3】高齢者が死に至るフェーズを3つに分類して、人間の人生の線表を作成しました。そして、私たちは、人生の2割以上を"介護者"または"被介護者"として関わっていかなければならないことを明らかにしました。

【4】介護問題の課題は明快で、(1)健康寿命の拡張、と、(2)被介護期間の短縮であり、「死の直前まで健康を維持し、その後、最短期間で死ね」であることを、ぶっちゃけました。

【5】高齢者を労働人口として加えた場合の効果を、シミュレーションを使って定量的に算出しました。現在の平均寿命からかんがみた場合、労働寿命を5年延長すると、労働人口を1割近く増やせるメドがあることと、長期的には、他の手段を用いなくても、国内だけで、一定の労働力を確保できることを数値で示しました。同時に、これらの施策が、権力委譲やイノベーションの妨げにもなりかねないことにも言及しました。

【6】AI技術の一つである深層学習型のニューラルネットワークを「故意に破壊する」という実験を行い、認知症の発生メカニズムを模擬してみました。この結果、「認知症が、突然私たちの人生の何もかもを奪っていくものではない」ことを、定量的に示しました。


 以上です。



 最期に、今回のコラムでの、”介護”に関する、政府が主導する「働き方改革」に対する問題点をまとめておきたいと思います。

 もしかしたら、政府は、私が提案しているようなことは全部知っていて、高齢者の活用が、逆にコスト高になるという試算結果を終えているのかもしれません。

 しかし、私は、「人間は『助かったよ。ありがとう』の言葉を聞きたくて生きている」と思っています。

 (1)健康寿命の拡張、と、(2)被介護期間の短縮は、『ありがとう』を実現する道の一つであり、そして、それは、国家-家族-個人のWin-Win-Winに資するに違いないと、私は信じているのです。

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