JDI、戦略的協業でB2B/B2Cマーケティング強化:ディスプレイ企業から脱却へ(1/2 ページ)
ジャパンディスプレイ(JDI)は、戦略発表会「JDI Future Trip〜Creating Beyond〜」を開催し、同社が取り組む「イノベーション戦略」を実現するための「戦略的アライアンス」や「センサー戦略」などについて紹介した。
情報を「見る」から「活用する」へ
ジャパンディスプレイ(JDI)は2018年12月4日、戦略発表会「JDI Future Trip〜Creating Beyond〜」を東京都内で開催した。この中で、同社が取り組む「イノベーション戦略」を実現するための「戦略的アライアンス」や「センサー戦略」などを発表した。
JDIは、マーケティングイノベーションを推進するための組織を2018年4月に発足。同8月にはイノベーション戦略として、「最終製品ビジネスへの参入」「定期課金ビジネスの導入」「テクノロジーで社会的課題を解決」の3項目を掲げた。発足から100日間でヘッドアップディスプレイ(HUD)搭載ヘルメットや3Dディスプレイといったコンセプト製品を開発するなど、着実にスピード感を持って成果を上げてきた。
今回は2回目の戦略発表会となる。同社常務執行役員でCMO(チーフマーケティングオフィサー)を務める伊藤嘉明氏は、上記3項目を実現するためのアプローチとして3つのテーマを挙げた。「オープンイノベーションの推進」「海外展開の開始」「戦略的アライアンスの締結」である。
この中で特に強調したのが戦略的アライアンスである。これまで自治体や大学、企業など全23社/団体とアライアンスを組み、共同開発や実証実験に取り組んでいるという。会場では、新たにArm Treasure Dataと戦略的協業を行うと発表した。協業によりJDIは、Armが提供するIoTプラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform」や「Arm Treasure Data eCDP」を利用し、データを活用した新サービスの提供やビジネス創出を行う計画だ。さらに、B2B(Business to Business)マーケティングの強化やインダストリー4.0の実現を進める考えを明らかにした。
同社は、長年蓄積してきたディスプレイ技術をベースに、入出力を行う新しいインタフェースデバイスへと進化させている。これら自社デバイス技術と、Arm Treasure Dataが提供するデータの解析/分析技術を組みわせることで、データを活用したソリューションを実現する方針だ。「情報を『見る』から『活用』することが競争力の核となる」(伊藤氏)と話す。
「大面積」「透明」「曲がる、伸びる」センサーで差異化
インタフェースデバイスとして、同社が開発を強化しているのがセンサーデバイスである。ディスプレイ技術をベースに、「大面積」で「透明」「曲がる、伸びる」センサーの開発に取り組む。同社常務執行役員でCTO(チーフテクノロジーオフィサー)を務める永岡一孝氏は、「新たにセンサー用トランジスタを開発し、JDIならではのセンサーデバイスを開発する」方針を明らかにした。そのためには、ディスプレイ用に比べて感度が1000倍、リーク電流は1000分の1、といった特性を持つトランジスタの開発が必要だという。
開発中のセンサーとして具体的に紹介したのが、「大面積認証センサー」「ホバーセンサー」「ストレッチャブルセンサー」である。これらの製品は、早ければ2019年より量産を始める予定だ。「Arm Treasure Dataとの協業で、新たな機能を持つセンサーのアイデアが生まれる可能性もある」(永岡氏)と話す。
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