次世代メモリの市場予測と3D XPointメモリの現状:福田昭のストレージ通信(135) 半導体メモリの勢力図(6)(1/2 ページ)
今回は、次世代メモリのうち、MRAM(磁気抵抗メモリ)とクロスポイントメモリ(XPoint)について、市場予測と開発状況を説明する。
MRAMは10年以上にわたって大容量化を継続
2018年8月に米国シリコンバレーで開催された、フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」で半導体市場調査会社Objective AnalysisでアナリストをつとめるJim Handy氏が、「Flash Market Update、2018」のタイトルで講演した半導体メモリ市場に関する分析を、シリーズでご紹介している。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
前回は、既存の半導体メモリとエマージング・メモリ(次世代メモリ)の性能を比較してみせた。今回は、次世代メモリの市場規模を予測するとともに、最も注目されている次世代メモリ「3D XPointメモリ」の現状をご報告する。
Handy氏は講演で、西暦2016年から2028年までの次世代メモリの市場規模を予測したグラフを示した。といっても次世代メモリ全体ではなく、磁気抵抗メモリ(MRAM)とクロスポイントメモリ(XPoint)の市場規模である。そして比較のために、既存のメモリの中で市場規模が圧倒的に大きい、DRAMとNANDフラッシュメモリの市場予測も併せて載せた。
MRAMは2006年6月に量産が始まった。最初の製品は4Mビット品だった。そして現在まで大容量化が続き、256Mビット品が量産中である。そして1Gビット品がサンプル出荷中だとみられる。MRAMが10年以上にわたって大容量化を継続してきたことは、重要だ。
2016年〜2017年におけるMRAMの市場規模はそれほど大きくはない。いや、かなり小さい。DRAMおよびNANDフラッシュメモリと比べ、その市場規模は3桁ほど少ない。およそ1000分の1しかない、ともいえる。2020年代にはMRAMの市場規模は順調に拡大し、2028年にはDRAMおよびNANDフラッシュメモリの10分の1程度にまで成長すると予測する。かなり強気な予測にみえる。
クロスポイントメモリ(XPoint)の量産が本格的に始まったのは、2017年だとされる。IntelとMicron Technologyが共同開発した「3D XPointメモリ」が最初の製品である。2015年7月に開発が発表され、大いに注目を集めた。記憶容量は128Gビットと非常に大きく、DRAMの最大容量を軽く超えており、2015年当時はNANDフラッシュメモリの最大容量に匹敵していた。
クロスポイントメモリの市場が本格的に立ち上がるのは、2020年〜2021年と予測する。MRAMを追いかけるように市場は急速に立ち上がり、2025年ころにはMRAMと同じくらいの市場規模となる。そして2028年にはMRAMと同様に、DRAMおよびNANDフラッシュメモリの10分の1程度にまで成長すると予測する。これもかなり強気な予測だ。
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