訪日旅行者が自身のスマホでFeliCa決済可能に:NXPが新ソリューション
NXP Semiconductorsは、フェリカネットワークスと協力し、スマートフォンなどで国内外のモバイル決済/チケッティング機能に対応することができるソリューションの提供を始める。
互換性の壁を超えるモバイル決済/チケッティングサービス
NXP Semiconductorsは2019年2月21日、フェリカネットワークスと協力し、スマートフォンなどで国内外のモバイル決済/チケッティング機能に対応することができるソリューションの提供を始めると発表した。海外市場に向けたNFC対応のスマートフォンで、国内の交通系ICカード「Suica」システムなどにも容易に対応することが可能となる。
今回のソリューションで核となるのが、NXP製のICチップ「PN81シリーズ」である。PN81シリーズは、マルチアプリケーションICカード管理技術の標準化に取り組む「GlobalPlatform」仕様に準拠している。
NXPは世界的に利用されている「MIFARE」などをサポートした「PN81シリーズ」を2018年より出荷してきた。今回は、日本の電子マネーや交通系ICカードに搭載されている「FeliCa」にも新たに対応した。2018年開催の「Mobile FeliCa Chipset Certification Program」で認証を受けた初めてのチップだという。
PN81シリーズは、NFC(近距離無線通信)チップと組み込みセキュアエレメント(eSE)チップを、外形寸法が4×4mmの64端子VFBGAのパッケージに集積した。NFCチップは同社が市場シェアの90%を占めると主張する領域である。また、eSEチップはArmコアを採用し、通信速度を飛躍的に高めた。この結果、迅速な決済が求められるSuicaなどにも対応できるという。内蔵したフラッシュメモリの容量は1.6Mバイトである。
PN81シリーズを用いると、「FeliCa」や、「EMVCo」が定めるICカード仕様、NXPが開発し世界シェアが70%と主張する「MIFARE」などの技術方式に、1チップで対応することが可能になるという。
しかも、NXPは、NFCチップやeSEチップといったハードウェアに加え、eSEチップ上で動作する「Javacard OS」、さまざまなモバイル決済や交通系のアプレットおよび、各種サービスも含めワンストップでサポートできる体制を整えている。
NXPジャパンのセキュリティ&コネクティビティ・デビジョンマーケティングマネジャーを務める山本尚氏は、「国内向けのNFC対応スマートフォンは、海外向けスマートフォンと同じNFCのハードウェアを搭載していても、ソフトウェアの実装方法が異なり互換性がなかった。このため、訪日旅行者は所有するスマートフォンを使い、Suicaを利用することはできなかった。PN81シリーズを搭載した新しい端末では、そのまま日本でも使えるようになる。逆に、日本仕様のスマートフォンを持つ人は国内での各種サービスに加え、海外に出かけた場合に、訪問先でMIFARE応用のサービスを受けることが可能となる」と話す。
NXPによると、早ければ2019年中にもPN81シリーズを搭載したスマートフォンが商品化される見通しだ。NXPでは、スマートフォンの他、タブレット端末やウェアラブル機器など、「Android OS」を搭載する機器を中心に、システム提案を行う。
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