ハード開発をよりオープンに、団体設立が相次ぐ:CXLやCHIPS Alliance(1/3 ページ)
IntelとRISC-Vの支持者たちがそれぞれ、ライバル同士となるアライアンスの設立を発表した。未来のプロセッサを見据え、競合するエコシステムを構築していくという。
IntelとRISC-Vの支持者たちがそれぞれ、ライバル同士となるアライアンスの設立を発表した。未来のプロセッサを見据え、競合するエコシステムを構築していくという。
Intelは、オープンなChip-to-Chip(チップ間)のインターコネクト規格「Compute Express Link(CXL)」を発表した。2021年に同社のプロセッサでの使用を開始し、アクセラレーターやメモリに接続する予定だという。メンバー企業には、AlibabaやCisco、Dell EMC、Facebook、Google、HPE、Huawei、Microsoftなどが名を連ねる。
また、少数のRISC-V提唱者たちが、「CHIPS Alliance」の設立を発表した。Linux Foundationのプロジェクトの一環として、命令セットアーキテクチャ向けに幅広い種類のオープンソースIP(Intellectual Property)ブロックやツールなどの開発を手掛けるという。初期メンバーとして、EsperantoやGoogle、SiFive、Western Digitalなどが参加している。CHIPSは、「Common Hardware for Interfaces, Processors, and Systems」の略である。
今回発表された2つのグループを比べると、CHIPS Allianceの方がはるかに意欲的な取り組みをみせている。CHIPS Allianceは、現在進められている複数のオープンハードウェアイニシアチブの中の1つにすぎないが、さまざまな種類の組み込みコアや、Linuxを動作可能なマルチコアSoC(System on Chip)に向けた、オープンソースのブロックを作成していくという。そして最終的には、その構築やテストを実行するための、オープンソースのデザインフローを実現することを目指す。
「CCIX」と真っ向から競争することに
一方、Intel率いるCXLは、ArmとAMD、IBM、Xilinxが2016年に設立した同様のグループ「CCIX」と真っ向から競争することになる。いずれのグループも、インターコネクトの基礎としてPCI Express(PCIe)を使用し、キャッシュコヒーレンシを追加する予定だ。
Intelは、「当社は長年にわたり、CXLの取り組みを進めてきた。そして最近、パートナー各社との間で、オープン化することで合意に至った。ターゲットデバイスに対してレイテンシと処理オーバーヘッドの低減を実現することが可能だ」と主張している。しかしCXLグループは、具体的な数値については明らかにしていない。
CXLはまず、次世代PCI Express 5.0(PCIe Gen5)(32GT/s)を採用し、PCIe I/Oや、キャッシュコヒーレントなプロセッサリンク、ロード/ストアアーキテクチャのメモリセマンティックなどを実現する予定だ。Xilinxは既に、CCIXを採用した業界初となる半導体チップを1品種発表している。まずは、既存のPCIe Gen4をベースとしているという。
Xilinxのバイスプレジデントであり、CCIXの責任者を務めるGaurav Singh氏は、「CCIXは数年先を行っており、既にCCIXをベースとするシリコンやシステムが作られている。Intelのこのような動きによって、これまで態度を決めかねていた多くの顧客や開発者が、既に使用できるCCIXのシステムの採用に前向きになるのではないだろうか」と述べた。
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