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データセンターを支える光伝送技術 〜エッジデータセンター編光伝送技術を知る(5)(1/3 ページ)

今回は、データセンターの新しいトレンドとして注目されている「エッジデータセンター」について解説する。

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5GとIoTで注目が高まるエッジデータセンター

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 ハイパースケールデータセンターの次に来る波として最近注目されているのが、エッジデータセンターである。エッジデータセンターは最近の動向なので、その定義や機能、構造などは、さまざまあり、まだ定まっていない。今後変化していく可能性もあるが、現時点での状況をお伝えしたい。

 エッジデータセンターでも、ハイパースケールデータセンターと同様に光伝送を利用したスイッチネットワークが重要であるが、さらに車やデバイスなどからの情報収集、配分にも光伝送が使われている。

 エッジデータセンターを特徴づけるのがリアルタイム性だ。低レイテンシで情報を収集・処理・分配することを目的として、デバイスや利用者の近くに構築されるデータセンターである。現在は、IoT(モノのインターネット)や、自動運転(自律走行)、スマートファクトリーでの応用が注目されており、今後は応用がさらに広がっていくと考えられている。

 自動運転では、各種センサーとAI(人工知能)を利用して、人間の代わりに運転するだけでなく、交通インフラのデータを遅延なく自動車にフィードバックすることで、より安全な運転や走行を実現することが期待されている。

 そのためには、自動車や路上カメラから、映像などさまざまな情報をリアルタイムに収集し、機械学習などで高度な演算処理をし、リアルタイム情報として自動車に配信するシステムが必要になる。

 例えば、交差点に出ようとしているクルマに、死角になるところから自転車が近づいていることを認識するシーンを考えてみよう。この場合、交差点の路上カメラが取得した自転車の映像を解析し、クルマにその情報をリアルタイムに伝えるようなシステムが必要になる。

 時速60kmで走行する車が20cm移動するのにかかる時間は12ミリ秒であり、衝突などを避けるためには10ミリ秒以下で映像伝送からフィードバックまでを行わなければいけない。

 こうしたシステムを実現するポイントは2つ。一つは、自転車や交差点の映像など膨大なデータをリアルタイムでコンピュータに送り、かつ、交通情報をリアルタイムに自動車に送信できる通信ネットワークである。もう一つは、送られてきた膨大なデータを処理するための、強力なAI技術を中心としたコンピュータシステムである。前者には5G(第5世代移動通信)ネットワーク、後者にはエッジデータセンターが期待されている。

 5Gでは、(1)10Gbps以上の高速、大容量、(2)1ミリ秒以下の低レイテンシ、(3)100万台/km2以上の多接続などの目標(ネットワーク要件)がある。これらは自動運転を意識したIoT応用の拡大に応えるものである。特に、人間の感覚に違和感なく応答するには数ミリ秒のレイテンシが要求される。

 100万もの多接続を実現するため、5Gでは膨大な数のアンテナが必要である。アンテナがカバーする範囲をセルというが、マイクロ、ナノ、ピコ、フェムトと言ったさまざまなサイズのセルが開発されている。フェムトは、机上に置けるモバイルアンテナ装置だ。

 現在はアンテナごとに基地局が置かれているが、5Gでは、アンテナに必要な最小限の回路(RRH:Remote Radio Head)を残し、他の回路(BBU:Baseband Unit)を集合化した集線局を設置するというC-RAN(Centralized Radio Area Network)が想定されている。アンテナ(RRH)と集線局は多量の光ファイバーで接続され、その伝送速度は25Gbps、50Gbpsである(将来にむけて100Gbps以上の高速も検討されている)。

 C-RANでは、集線局において、通信機能や処理はサーバが実行する。通信専用装置ではなく、サーバ上のソフトウェアが行う通信処理機能を「NFV(Network Function Virtualization)」という。「ムーアの法則」で大集積、高速になったIC技術がこれを可能としてる。

 このように、集線局は多くのサーバで構成されたデータセンターと同様の構造になると予測できる。このため、自動運転やIoTのリアルタイム性を実現するために、集線局、あるいは複数の近接した集線局の一つにエッジデータセンターを設置すること(Co-location)も検討されている。


図1 5Gで注目されているエッジデータセンター(クリックで拡大)

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