5Gも機械学習も「ArmプロセッサIP」で全部やる:頭打ちのIntel、まだ伸びるArm(1/3 ページ)
Armの日本法人であるアームは2019年4月4日、東京都内で報道関係者に向けたセミナーイベントを開催した。このイベントではクライアントコンピューティングに自動運転分野、そして、インフラにサーバ関連における最新動向とArmの取り組みについて説明がなされた。この記事では、5G(第5世代移動通信)、機械学習、人工知能などをクライアントコンピューティングにおいて最新の技術動向とArmプロセッサIPのロードマップについて紹介する。
Armの日本法人であるアームは2019年4月4日、東京都内で報道関係者に向けたセミナーイベントを開催した。このイベントではクライアントコンピューティングに自動運転分野、そして、インフラにサーバ関連における最新動向とArmの取り組みについて説明がなされた。この記事では、第5世代移動通信(5G)、機械学習、人工知能などをクライアントコンピューティングにおいて最新の技術動向とArmプロセッサIPのロードマップについて紹介する。
5Gで大きく変わるプロセッサの処理能力水準
「5G、ML(機械学習)/AI(人工知能)などクライアント・コンピューティング分野の最新動向」と題する講演でArmの取り組みを紹介したのは、英Armでマーケティングプログラム担当バイスプレジデントを務めるIan Smythe氏だ(なお、Smythe氏が示した英文タイトルは“Driving new interactive consumer experiences”)
Smythe氏は、コンシューマーコンピューティングにおいてArmが実現すべきビジョンとして「制限のない臨場感のある体験」「高い処理能力と高い電力効率の両立」「5Gネットワークへの対応」を掲げる。「臨場感はコンシューマーのあらゆる利用場面で求められるだろう。臨場感の実現には高い処理能力とともに高い電力効率も必要になる。そして、5Gネットワークの接続がこれらの変革を実現する」(Smythe氏)
Smythe氏は5Gネットワークについて、まず急激に拡大する市場規模をEricssonが2018年に出したレポートを基に説明した。それによると、2023年までに5Gネットワーク対応してデバイスは10億台に達し、1カ月当たりのデータ転送量は107EB(エクサバイト。1018バイト。106テラバイト)に増加する。そのデータ転送量全体の95%はモバイルデバイスによるもので、20%は5Gネットワークを介するとされている。
Smythe氏はこの予測に対して「サービス開始からの期間を考えると、5Gは3Gより速いペースで普及が進む」という。「MWC 2019では5Gに関して特に多くの情報が公開されたが、まだ始まりに過ぎない。5G対応デバイスは10種類ぐらいしか登場しないだろう。しかし、2020年にはもっと増える。SoCも進化する。モバイルデバイスに限らすインフラも処理能力が高まることになる」(Smythe氏)
そんなSmythe氏は、5Gビット/秒(bps)から20Gbpsという高い転送レートと10ミリ秒を下回る低遅延による即応性、そして、1km2で10万台を超えるデバイスと接続でき、1m2当たり10Mbpsの転送レートを可能にする高密度通信が可能である5Gネットワークによって、ワイヤレスネットワークを利用するコンピューティングシーンは未知の領域に入るという考えも示している。その中で、Smythe氏が5Gの有望な利用シーンの1つとして挙げるのがゲーミングコンピューティングだ。そして、低遅延なワイヤレスネットワークに数十億規模のデバイスが接続できるゲーミングコンピューティングを実現するには、インフラのみならずテクノロジーへの投資も重要だとSmythe氏は訴える。
この流れを受けてSmythe氏は、幅広いラインアップでプロセッサIPを提供するArmの優位性にも言及した。Armは現在、処理能力を優先するCortex-A、リアルタイム処理重視のCortex-R、省スペース省電力を実現したCortex-Mを擁し、5Gネットワークで必要となる高速転送処理にはCortex-Aを、低遅延のリアルタイム処理用途にはCortex-R、大量接続高密度通信にはCortex-MとArmが提供するプロセッサIPが将来の5Gネットワークの基幹になるとSmythe氏は語っている。
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