5Gも機械学習も「ArmプロセッサIP」で全部やる:頭打ちのIntel、まだ伸びるArm(3/3 ページ)
Armの日本法人であるアームは2019年4月4日、東京都内で報道関係者に向けたセミナーイベントを開催した。このイベントではクライアントコンピューティングに自動運転分野、そして、インフラにサーバ関連における最新動向とArmの取り組みについて説明がなされた。この記事では、5G(第5世代移動通信)、機械学習、人工知能などをクライアントコンピューティングにおいて最新の技術動向とArmプロセッサIPのロードマップについて紹介する。
プロセスルールの微細化はますます厳しくなる
プロセッサのロードマップについては、まず、2019年2月に発表した最新のArm v8.1-Mを紹介した。こちらも機械学習演算を重視したアーキテクチャで、int8 格子乗算処理能力がArm v8の15倍に向上したという。
また、次世代の“Deimos”は2019年に、“Hercules”は2020年に登場する予定とも述べている。Smythe氏は、今後登場するプロセッサについて「業界標準を超えた高いパフォーマンスを電力効率とのトレードオフなしで実現する」とした上で、アーキテクチャ開発の投資を今後も増やしていくと語った。「Herculesの処理能力は2016年登場のCortex-A73と比べて2.5倍になる」(Smythe氏)
Cortex-Aシリーズのロードマップでは2019年にDeimosが、2020年にはHerculesが登場する予定。Deimosでは7nmプロセスルールを、Herculesでは5nmプロセスルールを採用するとしている (クリックで拡大)
パフォーマンスの進化をCortex-AシリーズとCore i5シリーズで比較。ムーアの法則が限界に来ているIntel製CPUの向上曲線は“頭打ち”な一方で、微細化が進むArmのプロセッサは性能向上を続けていく、というのがArmの主張だ (クリックで拡大)
GPUについては、モバイルデバイスでのゲーミング利用が増えるに伴い、スマートフォンでもコンシューマーゲーム機に相当するグラフィックパフォーマンスを求めるなど、要求が厳しくなっているという。また、数ミリ秒のズレでもユーザーに大きく影響するARやVR利用においては遅延削減の要求が厳しく、その対策においてGPUは大きく貢献すると説明している。その上で、Smythe氏は、ArmがIPを提供する「Mali」シリーズは10億台のデバイスに実装した実績のあるGPUで、ゲーミングやAR、VRにおける問題の解決に重要な柱になるとしている。
GPUのロードマップでは、High Performanceラインアップで予定している「Mali-G76」について、従来のモデルと比べて処理能力は1.5倍に向上し、ゲーミング、クロスプラットフォーム利用、そして、エッジにおける機械学習において優れた処理能力を発揮しつつ、バッテリー駆動時間も延びたと説明している。
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