次世代メモリ技術の最有力候補はPCMとMRAM、ReRAM:福田昭のストレージ通信(146) 半導体メモリの技術動向を総ざらい(7)(1/2 ページ)
今回は、次世代メモリの立ち位置を再確認した上で、相変化メモリ(PCM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、抵抗変化メモリ(ReRAM)という3つの最有力候補について解説する。
次世代メモリの立ち位置を再確認する
2018年8月に米国シリコンバレーで開催された、フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」でMKW Venture Consulting, LLCでアナリストをつとめるMark Webb氏が、「Annual Update on Emerging Memories」のタイトルで講演した半導体メモリ技術に関する分析を、シリーズでご紹介している。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
本シリーズの第4回でご説明したように、コンピュータのメモリ/ストレージ階層における次世代メモリの立ち位置は、DRAM階層とNANDフラッシュメモリ階層の間にある。メモリ/ストレージ階層の隣接する階層間における遅延時間(レイテンシ)のギャップが、DRAMとNANDフラッシュメモリの間で大きく開いているからだ。遅延時間の違いは約4桁もある。
ギャップが大きいということは、新たな階層を挟む余地がある、ということでもある。NANDフラッシュメモリのストレージであるSSDが登場する以前の時代は、DRAMの次にくるメモリ/ストレージ階層はHDDだった。DRAMとHDDの遅延時間のギャップはさらに大きく、約6桁におよんだ。SSDは、DRAMと次の階層のギャップを約4桁にまで縮め、コンピュータの性能向上に大きく寄与した。
しかしコンピュータにおけるメモリ/ストレージ階層のバランスは、まだ改善の余地が大いに残っている。この改善に寄与するのが、次世代メモリだともいえる。
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