5Gを活用する測位、低遅延でサブメートル級の精度も:各方面での活用に期待(2/5 ページ)
5G(第5世代移動通信)を活用した測位が注目されている。3GPPリリース16では、高精度の位置情報サービスを安価に、どこにでも、高い信頼性で提供することを約束されている。新しい信号特性をさまざまな非セルラー技術と組み合わせて活用することによって、堅ろうで信頼性が高く、多彩な形式のハイブリッド測位が可能になる。
新しいユースケース、新しい需要
これまで位置情報に基づくサービスの主な推進力は、規制当局からの需要に支えられてきた。しかし今日では、その中心はハードウェアや各種装置のメーカー、宇宙関連機関、そしてモバイルネットワーク事業者などを含む公的機関や一般企業に移っている。商業的なモチベーションに支えられ、新世代の位置情報サービスを実現する目的でセルラー位置情報サービスによるさらなる高精度を達成しようとさまざまな取り組みが進められている。
これらの適用分野は、ネットワークや外部アプリケーションがオブジェクトの行方を追跡するためにその位置を取得するUE(User Equipment)-Assisted、そしてナビゲーションやガイダンスの目的でUEが自身の位置を測位するUE-basedに大分類される。
同時に、IoT(モノのインターネット)が私たちの経済や社会生活のあらゆる面に浸透しつつある中、測位技術のサービスエリアと信頼性に対する期待が高まっている。今日、私たちはほぼどこにいても高速インターネットにアクセスできることを当然のことにように期待していますが、同じことが、恐らく高精度測位にも当てはまることになるだろう。
その結果、3GPPをはじめとする標準化団体は、今後のリリースではセルラー測位のための適用分野とパフォーマンスの要件を見直そうとしている。改善された高精度測位サービスの恩恵を受けるとされるユースケースは、産業、資産追跡、自動車、交通管理、スマートシティー、自転車シェアリング、病院、UAV(無人飛行機)、公共サービス、拡張現実(AR)、一般消費者向け、専門家向けウェアラブルなど多様な分野に及ぶ。
端的に言えば、5Gの技術は、個々のユースケースのニーズに応じて、絶対測位と相対測位の両方を提供する、さまざまなセルラーベースおよびハイブリッド型の測位サービスを提供することを目指している。
ここで重要な点は、位置情報は、読み取り側の立場から見て満足できる信頼度で提供されるべきだということだ。依然として完全に定義されておらず、合意されていない重要な要件もある。水平、垂直方向の精度、(近傍の機器間での)相対精度、初期位置算出時間、速度精度、消費電力、待ち時間、さらには運用およびセキュリティ関連の各種特性などだ*1)。
*1)3GPP TR22.872 V16.1.0 (2018-09)、技術報告、第3世代パートナーシッププロジェクト。技術仕様グループサービスとシステムの側面。測位ユースケースに関する研究。ステージ1、(リリース16)
以下、特に垂直産業における3つのユースケースで生まれる需要について見ていこう。
- UAVの役割と運用
- IIoT追跡アプリケーション
- 自律型車両ナビゲーション
最初の2つのユースケースで言及されている値は、3GPP TR 22.872テクニカルレポートから引用されたものである*2)。自動車のユースケースの値は広範囲にわたる個別用途が含まれており、追加の参考文献から引用されている*3)、*4)。
*2)3GPP TR22.872 V16.1.0 (2018-09)、技術報告、第3世代パートナーシッププロジェクト。技術仕様グループサービスとシステムの側面。測位ユースケースに関する研究。ステージ1、(リリース16)
*3)Cooperative-ITS(HIGHTS)の高精度測位、プロジェクト成果物D2.1: ユースケースと適用時の要件(2015年5月1日)
*4)道路利用者のニーズと要件、欧州GNSSの利用者協議プラットフォーム、欧州全地球航法衛星システム局(GSA)の成果に関する報告書(2018年10月18日)
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