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エンドポイントAI向け新Cortex-Mプロセッサ&NPU従来比最大480倍のML性能を実現(2/3 ページ)

Armは2020年2月10日、機械学習(ML)に特化した新プロセッサコアIP「Arm Cortex-M55」と初のCortex-M向けマイクロNPU(ニューラルプロセッシングユニット)IP「Arm Ethos-U55」を発表した。エッジAIよりさらに先のエンドデバイス上でのAI処理に向けた製品で、2つのIPを組み合わせることでMLパフォーマンスを従来に比べ最大480倍向上できるという。いずれも同日からライセンス提供を開始。ArmはこれらのIPを用いた最終半導体製品の出荷開始は、2021年初頭と予想している。

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Helium搭載した初のMコアプロセッサ

 M55は、Cortex-MプロセッサをMLの推論向けに特化した形でチューニングした「Arm史上最高のAI機能を実現したCortex-Mプロセッサ」だ。最新のArmv8.1-Mアーキテクチャおよび、Cotex-Aプロセッサ用のベクター演算処理技術Neonをベースに機能削減などをした「Helium」を初めて採用しており、エネルギー効率に優れたDSP命令、MLパフォーマンスを実現。前世代品と比較しMLパフォーマンスは15倍、DSP命令では5倍の性能向上を実現している。さらに、組み込みCPU向けのカスタム命令を可能にするする「Arm Custom Instructions」にも対応しており、プロセッサ機能を拡張し、特定のワークロードへの最適化を図ることもできるという。

 また、Cortex-M23およびM33から導入しているセキュリティ技術「TrustZone」も搭載。「製品をデプロイするのにセキュアなプログラミング環境を即時提供可能だ」としている。

 Cortex-M55のフットプリントは、Heliumを除けばCortex-M33とほぼ同じであり、Cortex-M33で適用可能な製造プロセスを利用できる。


「Arm Cortex-M55」の概要(クリックで拡大)出典:Arm

 Ethos-U55はArm初のCortex-M向けマイクロNPUとなる。Armが提供する中で最小のCortex-Mをホストプロセッサとすることを想定しているためメモリ利用の効率化、必要なメモリフットプリント削減を達成しているのが大きな特長だ。

 MLの推論で必要なMAC(積和演算)ユニットも顧客の用途に応じて32、64、128、250並列から選択可能であり、「非常に小さいシステムから、そこそこ大きなものまで1つのIPでカバーできる」としている。ウェイトデータをメモリ転送時に圧縮、展開しメモリの帯域を削減するハードウェアロジックも搭載しており、低消費電力化を実現。「消費電力とMLモデルサイズを大幅に削減することで、従来は大規模システムでしかできなかったニューラルネットワークの実行が可能になる」という。Ethos-U55は、今回同時に発表したCortex-M55はもちろん、M33/M7/M4もホストプロセッサとして利用可能だ。


「Arm Ethos-U55」の概要(クリックで拡大)出典:Arm

 今回発表された2つIPは、Cortex-Mソフトウェアツールチェーンを完全にサポートしている。従来型のワークロードやDSP、MLのワークロードにおいて統合型の開発フローが保証される。さらに、Googleの機械学習フレームワーク「TensorFlow Lite for Microcontrollers」をはじめとした業界標準の機械学習フレームワークに対応した統合、最適化機能も実現する。


提供予定の開発環境について。ソフトウェア開発環境については従来、NPUで処理するMLのアルゴリズム、制御フロー用のCPU、そしてDSPのコードをそれぞれ個別に開発したうえで1つのシステムを作り上げたきたが、Cortex-M55とEthos-U55用に、それらを統合できる環境を開発しているという(クリックで拡大)出典:Arm

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