HDD大手Western Digitalの売上高、6四半期振りに前年比のマイナスから脱出:福田昭のストレージ通信(163)(2/2 ページ)
Western DigitalとSeagate Technologyについて、2019年10月〜12月期の業績を説明する。
クライアント向けの売り上げが前四半期比で2桁増に
部門別の売上高を見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
データセンター用デバイス・ソリューション部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。売上高は前年同期比39%増、前四半期比2.8%減の14億8900万米ドルである。前四半期比でエンタープライズSSDの売り上げが伸びたものの、容量重視型エンタープライズHDDの売り上げが減少したことと、ソリューション事業からの撤退がマイナス要因となった。
クライアント用デバイス部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。売上高は前年同期比19%減、前四半期比11%増の17億9700万米ドルである。NANDフラッシュメモリ応用品とHDD製品がともに、前の四半期に比べて売り上げを伸ばした。またNANDフラッシュメモリの価格は上昇を続けている。
クライアント用ソリューション部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。売上高は前年同期比0.3%増、前四半期比6.3%増の9億4800万米ドルである。HDDと外付けSSDの需要が強く、売り上げを押し上げた。
HDD製品の売上高が前年同期を超える
WDはHDD製品とNANDフラッシュ応用品の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表している。2020会計年度第2四半期(2019年10月〜12月期)におけるHDD製品の売上高は前年同期比16%増、前四半期比0.5%減の23億9600万米ドルである。久しぶりに売り上げが前年同期を上回った。粗利益率は30.8%である。前の四半期に比べて2.3ポイント増加した。
HDD製品の販売台数はクライアントコンピュート(PC)向けが1180万台、ノンコンピュート(リテールおよびコンシューマー)向けが1030万台、データセンター向けが710万台である。前の四半期に比べるとクライアントコンピュート向けが110万台減少し、ノンコンピュート向けが140万台増加した。データセンター向けは40万台減少した。HDDの平均販売価格(ASP)は前の四半期と同じ、81米ドルである。
2020会計年度第2四半期(2019年10月〜12月期)におけるフラッシュ応用品の売上高は前年同期比15%減、前四半期比13%増の18億3800万米ドルとなった。前期に続いて前四半期比の売り上げが増加した。粗利益率は19.5%である。前の四半期が19.3%だったので、ほとんど変わらない。記憶容量当たりの販売価格(GB単価)は前の四半期に比べて8%低下した。
(次回に続く)
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