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量子コンピュータよ、もっと私に“ワクワク”を踊るバズワード 〜Behind the Buzzword(2)量子コンピュータ(2)(7/9 ページ)

この連載のために量子コンピュータについて勉強し続けていますが、今一つワクワクしません。ハードがないのにアルゴリズムの研究が何十年も行われているのは素直にすごいと思いますが、ことアプリケーションの話になると、どうも“ショボい”気がするのです。そうは言っても、連載を続けないといけませんので、「私の、私による、私が楽しむためだけの記事」として筆を進めることと致します。

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「未来の量子コンピュータ」はいつごろやってくるのか

 というわけで、次の私の疑問は、"今"の量子コンピュータが、根拠なく論じられているバラ色の"未来"の量子コンピュータはいつごろやってくるだろうか、ということです。

 これについていろいろと調べてみたのですが、量子コンピュータの世界は、どうしてなかなか閉鎖的です。もちろん、量子ビット、量子ゲート、そして量子アルゴリズムについては、気前よく論文が開示されています。これはアカデミズム(大学の研究室)主導で、主に数学を中心に展開されてきたからだと思われます。

 ところが、これがハードウェアとなると、まったく情報が出てきません。特許庁の検索エンジンで"量子コンピュータ""ハードウェア"で検索してみたいのですが、わずか7件です ―― いくつか拾い読みしてみましたが、ハードウェアの設計に関係しそうな図面が開示されていたのは2件。それもモデル図で記載されていて、実際のハードウェアの設計には、全く役に立ちそうもない代物でした*)

*)[Tさんツッコミ!]現状のハードウェアは、数十量子ビットの実験装置レベル(論文ではたくさん登場します)であり、数百量子ビット以上の商用レベルのものではないため、国内移行手続き(日本語の翻訳文の提出等)に至っていないだけかもしれません。


 これは、明らかに、各研究所、企業、あるいは、各国政府主導で、量子コンピュータのハードウェアに関する情報が、営業秘密(不正競争防止法第2条6項)管理されている、と考えるのが自然です。そもそも、D-Wave, Google, IBMの名前で日本国に出願されていないというのが、異様です*)

*)[Tさんツッコミ!]D-Wave、IBMの特許海外出願はたくさんあると思います。再調査頂ければ嬉しいです。こちらの報告書など参考になると思います。


 これだけ“ないない尽くし”では、手の打ちようがありませんので、過去の古典コンピュータの歴史から、力づくで導き出してやろうと考えました。

 まず、"今"の量子コンピュータが、"過去"の古典コンピュータのどのフェーズに入るのかを想定してみました。

 私の仮説は、現在の量子コンピュータは、前述した「量子ビット」と、古典コンピュータで言うところの「真空管」と同じフェーズと考えました。このように考えていくと、プログラミング環境や、利用可能な台数なども、ほどよく一致しているようで、そこそこ根拠ある仮説になっていると思っています。

 真空管コンピュータの初年度を1945年のENIACとして、国民全員が(古典)コンピュータのリソースを享受可能な状態になった時を、Windows95が発売された1995年として、ざっくり50年、と見積もりました*)**)

*)当初、PC-8001の発売年1979年(→あと34年)でいいかと思ったのですが、インタフェースも考慮するとMacintosh SE/30の発売年1989年(→あと44年)、そして「大衆化」を考慮してWindows95の発売年1995年(→あと50年)としました。

**)[Tさんツッコミ!]ちなみに、国プロ「ムーンショット」では2050年(→あと30年)までに量子コンピュータを実現すると明言しています。ご参考まで


 そして、今後、間違いなく登場してくるのが「抵抗勢力」です。

 ENIACが登場した戦中戦後、人々は「コンピュータは国家が統制管理するもの」と思い込んでいて、「個人がコンピュータを持つ」などという発想は1mmも持っていませんでした。

 当時、コンピュータは原爆と同様「兵器」として考えられていましたので、製造方法などが秘密管理されていた点は、今の量子コンピュータと良く似ているような気がします*)

*)[Tさんツッコミ!]米軍の研究所なども学会発表しているので、ある程度はオープンにしていると思います(どこまで隠していてどこまでオープンにしているかはわかりませんが)。


 また、メインフレームが主流の時代にあっては、パーソナルコンピュータ(パソコン)の登場を徹底的に否定する人(例えば、メインフレームのベンチャー企業の社長)現われ、そして、ダウンサイジングの波にのまれたまま、会社を倒産させていきました*)

*)ちなみに、私も『スマホなんぞが主流になることはない。ノートパソコンで十分だ』と言い続けて、見事に未来を外した1人です。

 その理由は明快です。コンピュータができる未来のアプリケーションを想像することは、とても難しいからです(私の場合は、スマホのアプリ(特にSNS系)を想定できなかった)。

 量子コンピュータも同じ道(抵抗勢力との闘い)を歩むことになるんだろうなぁ、と思っています。なぜなら、現時点で、量子コンピュータの未来って、全然ワクワクできないからです

 まあ、上記のこの3つで、ワクワクしない理由は十分だと思います。

 つまるところ、量子であれ古典であれ、コンピュータは汎用的に使えるようになってから、アプリが登場するという性質があるのです。はっきり言えば、ハードウェアの発展が、ソフトウェアの進展を促してきたのです。

 ことわざ「必要は発明の母(Necessity is the mother of invention)」は、コンピュータの世界では、あまりフィットしません。むしろ「潤沢な資源(リソース)が発明の母」です。

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