OmniVision、140dBのHDR車載イメージセンサーを発表:目立たないドライバー監視カメラも発表
OmniVision Technologiesは2020年6月25日、140dBという高ダイナミックレンジ(HDR)性能を備えた車載向けCMOSイメージセンサー「OX03C10」を発表した。サラウンドビューシステム(SVS)や電子ミラー、リアビューカメラ(RVC)用途に向ける。
OmniVision Technologiesは2020年6月25日、140dBという高ダイナミックレンジ(HDR)性能を備えた車載向けCMOSイメージセンサー「OX03C10」を発表した。サラウンドビューシステム(SVS)や電子ミラー、リアビューカメラ(RVC)用途に向ける。
現状、SVSや電子ミラー、RVCに使用されるカメラのダイナミックレンジは120dB程度で、トンネルの出口付近など明暗の差が大きいところで、白飛びが発生する場合がある。これに対し、新製品のOX03C10は「世界初」(同社)という、140dBという高ダイナミックレンジ性能を実現し、「高速道で橋りょうをくぐるなどしても、一切、白飛びなどが起こらないカメラが実現可能になった」(同社日本支社 車載製品担当シニアマーケティングマネジャー Kelvin Chang氏)とする。
高ダイナミックレンジ化は、露光時間の異なる4枚の画像を合成するアルゴリズムを採用して実現。従来は、露光時間が異なる3枚の画像を合成しており、合成数を1枚増やすことで、ダイナミックレンジを拡大させた。合成数を増やした一方で、フレームレートは1920✕1280p解像度で60フレーム/秒(fps)を実現し「30fpsでは足りず、60fpsが必要な電子ミラーなどの用途にも対応できる」とする。
OX03C10は、高ダイナミックレンジでもLEDフリッカーを抑制する独自技術「HALE(HDR And LFM) Engine」を採用し、140dBという高ダイナミックレンジと、LEDフリッカー抑制機能を両立している。
イメージセンサーアレイと画像処理回路を縦方向に積層する「PureCelーS」と呼ぶ技術を採用。Chang氏は「従来センサーと比べて、小型化と低消費電力化も実現した。消費電力は競合品よりも25%低く、サイズは、競合品よりも50%小さい」という。また、「前世代の2.5Mピクセルセンサーよりも信号対雑音比が20%向上し、業界最高水準の低照度パフォーマンスを実現した」としている。
“目立たない”にこだわったDMS向け「OVM9284」も発表
OmniVisionは同日、OX03C10とともに、ドライバーモニタリングシステム(DMS)に向けた小型の車載カメラモジュール「OVM9284」を発表した。
OVM9284は、ウエハーレベルパッケージ技術を応用して6.5mm角サイズを実現した1Mピクセルカメラモジュール。小型サイズを実現したことで、フロントガラス脇のピラー(Aピラー)やステアリングなどさまざまな場所にカメラを設置することが可能だ。また940nm波長の近赤外光に最適化している点も特徴。Chang氏は「従来のドライバーモニタリングシステムは、高感度を実現しやすい840〜850nm波長を採用している場合がほとんどだが、ドライバーに赤い光が見えてしまい、監視されているという圧迫感を与えてしまっていた。OVM9284は、人には全く見えない940nmの近赤外光で十分な感度を確保し、ドライバーに気づかれにくいドライバーモニタリングシステムが構築できる」と述べた。
OVM9284は、LED照射時間を短くし、システムレベルでの低消費電力化が図れるグローバルシャッターに対応。搭載イメージセンサーは4分の1インチ光学フォーマットで1280✕800ピクセル解像度となっている。
新製品発表に合わせて開催されたオンライン記者説明会であいさつしたOmniVision日本支社長の薄井明英氏は「車載市場は、モバイル、コンピュータ、監視/セキュリティ、医療、IoT/新規用途と並ぶOmniVisionが注力する6市場の1つ。現状、車載市場向けイメージセンサーの世界シェアはおおよそ30%程度で、業界2位だと分析している。将来的には、1位のシェアを獲得したいと思っており、継続してビジネスを強化していく」と語った。
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