コロナによるエレクトロニクス業界への影響:最も深刻なのは自動車業界(1/3 ページ)
エレクトロニクス業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大により、どれくらい深刻な影響を受けているのだろうか。世界中にCOVID-19が拡大し始めてから6カ月が経過した今、その打撃による影響の深さや広さについて判断すべき時期が来たといえるのではないか。
半導体業界は「うまく切り抜けている」
エレクトロニクス業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大により、どれくらい深刻な影響を受けているのだろうか。世界中にCOVID-19が拡大し始めてから6カ月が経過した今、その打撃による影響の深さや広さについて判断すべき時期が来たといえるのではないか。現在、多くの半導体メーカーに大きくのしかかっている疑問の一つとして挙げられるのが、「世界市場の需要が回復してサプライチェーンが復活するまでには、どれくらいの期間を要するのか」という点だ。
EE Timesは今回、フランスの市場調査会社Yole Développement(以下、Yole)の2人の専門家たちにインタビューを行い、アナリストであるEric Mounier氏と、マクロ経済研究部門の責任者を務めるエコノミストであるGuillaume Assogba氏の両氏に話を聞いた。
両氏は大まかな評価として、「半導体業界は今のところ、パンデミックをうまく切り抜けている」とみているようだ。
Yoleによれば、エレクトロニクス製品は、工業や医療、通信などのさまざまな分野の製品に普遍的に使われていることから、大半の半導体デバイスは、パンデミックの影響をほとんど受けていないといえる。例えば、DRAMやNAND型フラッシュメモリ、CMOSイメージセンサー、Bio MEMSなどの他、HPCやクラウド、ゲーミングなどに向けたコンピュータハードウェアなどが挙げられる。
しかし、1つだけ回避できない現実がある。それは、パンデミックにより、世界的な旅行需要が壊滅的な打撃を受けたということだ。
民間航空や自動車などのモビリティ分野は、麻痺(まひ)状態に陥った。これらの市場で使われているエレクトロニクス製品は深刻な影響を受けており、市場回復には数年間を要するとみられる。例えば、ADAS(先進運転支援システム)やGaAs(ガリウムヒ素/6インチウエハー)、アプリケーション処理装置などに向けた、レーダーやセンサー、コンピュータデバイスなどのエレクトロニクス製品に関しては、明らかに需要が低迷している。
しかし、技術ごと、デバイスごとに、それぞれ市場分析を行うと、重大なマクロ経済的影響が出現する可能性を見逃してしまう恐れがある。
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