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RISC-V International CTOに聞く「課題や地政学的影響」本拠地はスイスに移転(1/3 ページ)

RISC-Vコミュニティーメンバー組織であるRISC-V Internationalは2020年8月3日、旧組織であるRISC-V Foundationからの移行に伴い、スイスに拠点を置く新しい法人組織の取締役メンバーを16人任命したと発表した。RISC-V Internationalは2020年6月にも、Mark Himelstein氏のCTO(最高技術責任者)就任を発表している。米国EE Timesは同年7月に、同氏にオンラインインタビューを行い、同氏の担っている役割や、RISC-Vの幅広い普及実現に向けた課題、地政学的な影響などについて話を聞いた。

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RISC-Vは新組織に移行

 RISC-Vコミュニティーメンバー組織であるRISC-V Internationalは2020年8月3日(スイス時間)、旧組織であるRISC-V Foundationからの移行に伴い、スイスに拠点を置く新しい法人組織の取締役メンバーを16人任命したと発表した。

 RISC-V Internationalは2020年6月にも、Mark Himelstein氏のCTO(最高技術責任者)就任を発表している。米国EE Timesは同年7月に、同氏にオンラインインタビューを行い、同氏の担っている役割や、RISC-Vの幅広い普及実現に向けた課題、地政学的な影響などについて話を聞いた。

EE Times Himelstein氏のこれまでの経歴と、RISC-Vへの参加を決断した理由について伺いたい。


RISC-V InternationalのCTO Mark Himelstein氏 画像:RISC-V International

Mark Himelstein氏 私の経歴の中で今回の決断に最も関係があるものとしては、3つ挙げられる。1つ目は、MIPS Technologiesに勤務し、コンパイラや最適化、OS、ISA(命令セットアーキテクチャ)設計のサポートなどを担当していたという点。2つ目は、その後5年間にわたってSun Microsystems向けに「Solaris」を担当していたこと。そして3つ目は、Graphite Systemsを創設してCTOに就任し、膨大な数のフラッシュメモリを搭載した大規模な並列コンピュートエンジンの開発を手掛けたことである(Graphite Systemsは、2015年にEMCに買収されている)。

 私はこれまで、ISAからアプリケーションまであらゆる分野に携わってきた。RISC-V InternationalのCEO(最高経営責任者)であるCalista Redmond氏が私を選んだ理由の1つとして考えられるのは、ISAが非常に重要であるのは誰もが知るところだが、それと同じくらいエコシステムも重要であるため、システムとISAの両方の分野における経験を持ち、ソフトウェアを重視している人物が必要だったからだろう。将来的にRISC-Vを可能な限り成功へと導く上で、最も大きな成長や多くの作業を必要とする分野であるためだ。

 私は、RISC-VのCTOという職務について全く考えたことがなかったが、そこに私の名前を挙げてくれたのは、MIPS Technologiesの同僚たちだった。最終的に私がその仕事を選んだのは、技術的に興味深い内容であったことと、面接時に会った人々にとても好感を持ったからだ。私はこれらの2つの点を、人生において仕事を選ぶ時に最も重要視している。

IoTからスパコンまで対応できる柔軟性

EE Times これまで長年にわたりこの業界で培ってきた経験から見ると、RISC-Vはどのようなチャンスを提供すると考えられるか。

Himelstein氏 オープンソースとしてスタートしたチップの中では、業界初となる規模のチップである。これは、その管理を維持する大企業から提供されたものではない。また、企業秘密にはされておらず、企業によって共有される形となる。このためコミュニティーにとっては、Linuxに対応する時と同じように扱うことができるチャンスを得られたことになる。

 もし1990年当時に、Linuxについて聞かれていたら、AIXやSolarisなどに関する話をしただろう。しかし今や、非常に簡単なものになった。RISC-Vも将来同様に、考えるまでもない簡単なものになるだろう。誰もがオープンソースソフトウェアの世界を経験したことで、「大企業によって管理されないということは、やりたいことを自由に実行することができる」ということを学んだからだ。

 RISC-Vでは、優れた専門知識を持つ人々が、驚くほど多く携わっている。RISC-VがIoT(モノのインターネット)からスーパーコンピュータ(スパコン)まで対応可能な優れた柔軟性を実現することができるのは、これらの人々が設計に携わり、気を配っているからだ。われわれは、MIPSやSPARC、Arm、x86に至るまで全てのISAを注視してきたため、これらの分野で何が重要なのかをよく理解している。

 われわれは、このような経歴面でも強みがあるため、16ビット命令や、浮動小数点レジスタ、整数レジスタなど、柔軟性に優れたISAを構築することができた。

 一方、われわれは現在、拡張モデルや柔軟性のために、ベクトル仕様を完成させようとしているところだ。このため、スペイン バルセロナにあるスーパーコンピュータの研究機関Barcelona Supercomputer Centerや、欧州イニシアチブなどが、現在スパコン開発の取り組みを加速させている。そしてあらゆるところに、専用のクラウドサーバを導入するエッジネットワークが存在する。

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