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「Cortex-R」初の64ビットプロセッサ、MMU搭載もArm、ストレージでのデータ処理に向け(1/2 ページ)

Armは2020年9月3日(英国時間)、ストレージ内での高速なデータ処理を実現する新プロセッサIP「Cortex-R82」を発表した。高性能なリアルタイム処理が必要な機器向けの「Cortex-Rシリーズ」初の64ビット品で前世代と比べ最大2倍のパフォーマンスを発揮するほか、メモリ管理ユニット(MMU)を搭載することでLinuxにも対応している。

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 Armは2020年9月3日(英国時間)、ストレージ内での高速なデータ処理を実現する新プロセッサIP「Cortex-R82」を発表した。高性能なリアルタイム処理が必要な機器向けの「Cortex-Rシリーズ」初の64ビット品で、前世代と比べ最大2倍のパフォーマンスを発揮するほか、メモリ管理ユニット(MMU)を搭載することでLinuxにも対応。「次世代ストレージデバイスなどのリアルタイム信号処理が必要な分野における技術革新をもたらす製品」として展開していく。

ニーズが高まるストレージ側でのデータ処理

 米国の調査会社IDC(International Data Corporation)によると、IoT(モノのインターネット)デバイスによって生成されるIoTデータ量は2025年には79Zバイトを上回るという。このデータ処理は、データソースの近くであればあるほどセキュリティ、レイテンシ、電力効率が向上することから、エッジ側でのリアルタームデータ処理が求められている。エッジデバイスでのデータ処理は、ネットワークのトラフィック量に比例してその重要性が高まる。Armによると、近年、特に「コンピュテーショナルストレージ」分野への注目が高まっているという。

 コンピュテーショナルストレージとは、従来ホスト側のMPU(Micro processing unit)で行っていたデータ処理、信号処理などのCPUセントリックなタスクを演算能力を持たせたストレージで行うという考え方だ。


左図は従来型のストレージと制御用のMPUの関係性で、ストレージからのデータはホストMPUでデータ処理されている。右図がコンピュテーショナルストレージ。データ処理や信号処理などをストレージ側で実施する 出典:Arm

 コンピュテーショナルストレージを活用することで、データベースのアクセラレーションのような一般的なストレージのユースケースでは、大規模なファイルの移動がなくなるほか、セキュリティやプライバシーも向上する。また、動画のトランスコーディングでは、ストリーミング時のデータの効率的なトランスコーディング/エンコーディングが可能となり、必要に応じて異なるビットレートや解像度を適用できる。さらに交通などの用途では、例えば1日に数テラバイトのデータが生成される飛行機でドライブ上のデータをリアルタイム分析することが可能となり、「飛行機の着陸時には30分足らずの間に次のフライトの安全性を検証でき、ターンアラウンドタイムを短縮しつつ乗客の安全性を向上できる」という。


コンピュテーショナルストレージの活用が期待される分野 出典:Arm

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