FD-SOIプロセスを地道に拡張するGF、2022年には上場へ:「12FDX」のロードマップも(1/2 ページ)
GLOBALFOUNDRIESは、企業全体の成長見通しだけでなく、アジアや欧州、米国において同社の主要な製造クラスタを開発していく上での現地戦略についても、統一した見解を掲げている。世界第3位の半導体製造請負サービス企業である同社は、特殊な技術戦略によってうまく軌道に乗り、最終的には純利益を増加させることができると確信しているようだ。
GLOBALFOUNDRIES(GF)は、企業全体の成長見通しだけでなく、アジアや欧州、米国において同社の主要な製造クラスタを開発していく上での現地戦略についても、統一した見解を掲げている。世界第3位の半導体製造請負サービス企業である同社は、特殊な技術戦略によってうまく軌道に乗り、最終的には純利益を増加させることができると確信しているようだ。同社は引き続き、製造能力を拡大することにより、寿命が長い大量生産のデバイス向けに最適なプロセス技術を発表していく考えだ。
世界中で過去10〜20年の間に、大規模な改革が行われてきたが、さらにこの先の10年間で、ビジネスおよび社会の両面で、もっと劇的な変化が待ち受けているとみられる。歴史的に見ても、重要なビジネス的改革あるいは社会的変革は、常に技術の進歩によって実現されてきた。
自動運転車、AI(人工知能)技術を搭載した産業機器、エクサスケールのスーパーコンピュータ、エッジコンピューティングデバイス、ウェアラブル機器など、さまざまな種類の新しいアプリケーションには、最新のプロセッサやSoC(System on Chip)が不可欠だ。
このような最新のCPUやSoCは、超高性能向けや超低消費電力向けなど、それぞれ専用に開発された製造技術を適用して作られている。一方、こうした製造プロセスは、特定の製品に対して専用の機能の組み合わせを提供する必要がある。現在、製造プロセスが専門化する傾向にあるが、特定の用途向けに専用のプロセス技術を開発することは、必ずしも完全に新しい技術をゼロから開発するということではない。時には、新しいライブラリやモジュールを導入し、その後の再検証を行うことによって、新しい可能性への扉が開かれることになる。
順調に成長している「22FDX」
このような拡張可能な技術プラットフォームの良い例として挙げられるのが、GLOBALFOUNDRIESのFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)プロセスを採用した「22FDX」だ。
2015年半ばに発表された22FDXプラットフォームは、14nm/16nm FinFETベースのプロセスを低コストで置き換えるとされていた。GLOBALFOUNDRIESは当初、異なる市場向けとして、超低消費電力版プロセス「22FD-ulp」と、超低リーク版「22FD-ull」、超高性能版「22FD-uhp」、高周波アナログ対応版「22FD-rfa」の4種類を提供していた。同社はその後、徐々にプラットフォームに組み込みMRAMなどの機能を追加することにより、用途を広げていった。
一般的に、コストに関係なく最大限の性能を求めるアプリケーション開発メーカーは、22FDXの存在を無視していた(その要因としては、22FDXが、競合するFinFET技術よりも後に登場したことや、ライフライクルの初期の段階で全ての機能を使用できるわけではなかったことなどが考えられる)。一方で、さまざまな量産デバイスを手掛ける開発メーカーは、低アイドル電流や低リーク電流、28nmチップと同程度の設計コストなど評価し、幅広く22FDX技術を採用していった。
GLOBALFOUNDRIESは2020年10月、「当社はこれまでに、3億5000万個を超える22FDXチップを出荷してきた」と発表している。また、デザインウィンに関しては、予定されているものまで含めると45億米ドル規模に達するという。22FDXは長期にわたって継続してきたプロセス技術であるため、今後も引き続き、同社の戦略に完全に合致する重要な役割を担っていくだろう。
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