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NXPの新車載マイコン、ソフト開発の負担減を目指す新パッケージで実装面積も低減(1/2 ページ)

NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年11月10日、Arm Cortex-Mシリーズをベースとした車載向け汎用マイコン「S32K」ファミリーの新製品として、Cortex-M7コアを搭載した「S32K3」ファミリーを発表した。

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ソフト開発の負担を減らす

 NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年11月10日、Arm Cortex-Mシリーズをベースとした車載向け汎用マイコン「S32K」ファミリーの新製品として、Cortex-M7コアを搭載した「S32K3」ファミリーを発表した。車載ソフトウェア開発のコスト低減と簡素化を目指したプラットフォームで、モーターコントロールを含むボディー制御系のECUをメインターゲットとする。2017年に発表した、Cortex-M0+/Cortex-M4Fコアベースの「S32K1」ファミリーの後継となるもので、S32K1のソフトウェア資産を活用できる。

 NXPジャパン マーケティング統括部 車載マイクロコントローラー部 部長を務める山本尚氏は、「自動運転機能への移行や電動化、OTA(Over-the-Air)機能、車載インフォテインメントの進化などにより、車載ソフト開発が複雑になっている。ハイエンドのクルマに搭載されているソフトウェアの桁数は1億5000万桁に上るともいわれている」と述べ、車載ソフト開発の負担減がいかに重要かを強調する。

 S32K3では、最大3個のCortex-M7コアと、最大8Mバイトのフラッシュメモリを搭載。シングルコアとデュアルコアの品種はASIL A/ASIL Bに対応し、トリプルコアあるいはロックステップ方式対応のコアを搭載した品種はASIL C/ASIL Dに対応する。


「S32K3」ファミリーの概要 出典:NXPジャパン(クリックで拡大)

「S32K1」とS32K3のメモリ容量および対応するASIL規格。S32K1に比べるとコアがCortex-M7にグレードアップした他、メモリ容量も増えている 出典:NXPジャパン(クリックで拡大)

 S32K3では、策定中のISO/SAE 21434規格や将来の要件を見越して設計したセキュリティエンジンを、独立して搭載している。NXPは銀行カードや携帯電話機のNFC(近距離無線通信)などに搭載されているSE(セキュアエレメント)で強みを持つが、そのSEのIP(Intellectual Property)を採用しているので、耐タンパー性を備えたセキュリティエンジンとなっている。

 セキュリティのファームウェアも無償で提供する。「フィールドでアップグレードが可能になっている。最新のアタックに対応したファームウェアをダウンロードすることができるようになる」(山本氏)。機能安全については、システムレベルのハードおよびソフト、ライブラリなどを提供するので、ASIL認証を簡略化できる。無償で提供するリアルタイムドライバー(RTD)パッケージには、AUTOSAR規格や独自開発のソフトウェアアーキテクチャ向けの下位レベルドライバーが搭載されているため、自動車メーカーやティア1メーカーはプラットフォームを再利用できるようになる。

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