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Gelsinger氏の“帰還”、Intelにとっては好機か次期政権との関係構築も鍵に(1/3 ページ)

CEO(最高経営責任者)の継承は、非常に重要である。最近の報道によると、IntelのCEOであるBob Swan氏が近々退任し、その後任としてPat Gelsinger氏が就任するという。一方Qualcommは、現プレジデントであるCristiano Amon氏にCEOの後任を託すとしている。

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CEO交代発表が対照的だったIntelとQualcomm

 CEO(最高経営責任者)の継承は、非常に重要である。最近の報道によると、IntelのCEOであるBob Swan氏が近々退任し、その後任としてPat Gelsinger氏が就任するという。一方Qualcommは、現プレジデントであるCristiano Amon氏にCEOの後任を託すとしている。

 ビジネスは常に、外部からの力によって悩まされ続ける。例えば、国内外で突然発生する競争や貿易戦争、自然災害などの他、最近ではパンデミックも挙げられる。

 企業にとって、不利な状況の中で事業発展に向け舵を切っていく上で、確実に生き残ることが可能な方法というものは、それほど多くない。最も信頼性のある戦略として挙げられるのは、いかなる事態に対しても、機敏かつ迅速に断固とした決意で順応していくという方法だ。ただしこれは、社内の官僚制との摩擦に対して適用することは非常に難しい。だが、どの企業でも使うことが可能な、別の方法がある。それは、CEOの後継者を選ぶ場合、時間に十分な余裕をもって計画を立てることにより、自社で管理可能なことを自ら管理するということだ。

 2021年に入ってから最初の2週間だけでも、競合する半導体メーカーであるQualcommとIntelが、それぞれまったく異なる動きをしている。Qualcommが成功を収めた一方で、Intelは混乱状態に陥っている。

 最初に、Qualcommは2021年1月5日(米国時間)、CEOの交代を発表したが、劇的な驚きなどは全くなかった。同社のCEOであるSteve Mollenkopf氏が2021年6月に引退する予定であるため、その後任として、現プレジデントであるCristiano Amon氏が就任するという。


退任を発表したIntel CEOのBob Swan氏

 一方、IntelのCEOであるBob Swan氏は1月13日(現地時間)、突然の退任を発表した。報道によると、取締役会からの圧力を受けたためだという。世界最大の半導体メーカーであるIntelの新しいCEOには、Pat Gelsinger氏が2021年2月15日付で就任する予定だ。同氏は、かつてIntelで活躍した技術者であり、その後他社を渡り歩いた後、今回Intelに復帰することになった。

 Gelsigner氏は、今後わずか1カ月という短い時間で、新しい職務に就くための準備をしなければならない。

 それとは対照的にAmon氏は、Qualcommで20年間にわたり重役を担ってきた人物であり、2018年からは同社のプレジデントを務めている。同氏はこれまで、Mollenkopf氏が、貿易戦争や特許係争、5G(第5世代移動通信)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などをめぐる紆余曲折の中で、どのようにQualcommを率いてきたのかを間近で見てきたのだ。

 Gelsinger氏の場合、Intelの取締役会だけでなく、アナリストコミュニティー全体からもサポートを受けている。これら全ての人々が同氏に対し、Intelが過去の栄光を取り戻せるよう魔法をかけてほしいと期待しているのだ。

 Gelsinger氏には、信頼と実績だけでなく、巨大半導体メーカーであるIntelにおいて30年間にわたり培ってきた経験もある。同氏は人々を安心させるべく、ブログ記事を投稿し、「Andrew S. Grove(アンドリュー・グローブ)氏やRobert N. Noyce(ロバート・ノイス)氏、Gordon E. Moore(ゴードン・ムーア)氏たちに続き指揮を取ることは大変な栄誉であり、誇りに思う」と述べた。

 もし筆者がIntelの社員だったとしたら、この記事を読んで深く感動し、「ぜひともあの輝かしい日々を取り戻してほしい。あなたを信じてついて行きたい」と思うだろう。

 このような感想はさておき、Gelsinger氏をはじめとする全ての人々にとって、明確な現実主義を実現していく上で、今こそ良いタイミングなのではないだろうか。

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