連載
コロナ禍でも好調を維持する半導体メモリ市場:福田昭のストレージ通信(172) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(1)(2/2 ページ)
今回から、2020年11月にバーチャルで開催された「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」の講演を紹介する。まずは、半導体メモリのアナリストJim Handy氏による講演「Annual Flash Update - The Pandemic's Impact(フラッシュメモリの年次アップデート-パンデミックの影響)」の要旨を報告したい。
DRAMの利益率は約45%と高い
そしてDRAMの利益率は約45%であり、NANDフラッシュメモリもわずかながら利益を出している、とHandy氏は講演で述べていた。DRAMは値下げの余地がかなりある、ということだ。
2020年1月から2020年10月までのDRAMとNANDフラッシュメモリの価格(記憶容量当たり)推移。出典:FMS 2020の講演「Annual Flash Update - The Pandemic's Impact」の配布資料(クリックで拡大)
また2020年における価格の推移をCOVID-19関連の出来事と結び付けたスライドを示していた。まず2020年1月23日に中国の武漢が封鎖された。同年2月24日には、イランの周辺国が相次いでイランとの国境を封鎖した。同年3月10日にはイタリア政府が全土の封鎖を始めた。同年3月中旬から下旬には、米国の各州が相次いでロックダウンを開始した。価格の推移を見る限り、これらの動きが、DRAMとNANDフラッシュメモリの価格に影響を与えたとは考えにくい。
半導体メモリの主要な用途における2020年の動き(出荷台数の前年比)。出典:FMS 2020の講演「Annual Flash Update - The Pandemic's Impact」の配布資料(クリックで拡大)
用途別の需要(出荷台数ベース)を前年比で見ていくと、スマートフォンは減少し、データセンターは増加し、デスクトップPCは減少し、ノートPCは増加した。全体の需要は堅調に伸びている。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HDD大手Western Digitalの業績、前年同期比の営業利益が3四半期連続で増加
今回は、米Western Digitalの2021会計年度第1四半期の業績を紹介する。 - 新材料で次々世代を狙う「強誘電体メモリ(FeRAM)」
今回は「強誘電体メモリ(FeRAM)」を取り上げる。FeRAMの記憶原理と、60年以上に及ぶ開発の歴史を紹介しよう。 - 次々世代の不揮発性メモリ技術「カーボンナノチューブメモリ(NRAM)」
次世代メモリの有力候補入りを目指す、カーボンナノチューブメモリ(NRAM:Nanotube RAM)について解説する。NRAMの記憶原理と、NRAMの基本技術を所有するNanteroの開発動向を紹介しよう。 - 磁気抵抗メモリ(MRAM)の長所と短所
今回から磁気抵抗メモリ(MRAM)について解説する。まずはMRAMの構造と、長所、短所をそれぞれ説明しよう。 - 一度消えたPCMが「3D XPointメモリ」で劇的にカムバック
今回は、相変化メモリ(PCM)が市場から一度消えた後に、「3D XPointメモリ」で劇的に復活したことをご説明しよう。