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5Gでは「ミッドバンド+ミリ波」のコスト効率が高いGSMAがレポートを公開(1/2 ページ)

通信事業者の業界団体であるGSMA(GSM Association)のインテリジェンス部門は2021年1月、研究レポートを発表し、「ミリ波(mmWave)帯は、特にミッドバンドと組み合わせて導入した場合に、さまざまな5Gユースケース向けにコスト効率を高められる可能性がある」と主張した。

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5Gミリ波のTCOを調査

 通信事業者の業界団体であるGSMA(GSM Association)のインテリジェンス部門は2021年1月、研究レポートを発表し、「ミリ波(mmWave)帯は、特にミッドバンドと組み合わせて導入した場合に、さまざまな5Gユースケース向けにコスト効率を高められる可能性がある」と主張した。

 この研究では、異なる地域の重要な3つのユースケースについて、総所有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)を調査したという。それぞれのユースケースにおいて、3.5GHz帯のみを導入した場合と、3.5GHz帯とミリ波を組み合わせた場合(3.5GHz帯+ミリ波)とを比較した。

 GSMAの経済分析部門の責任者を務めるPau Casstels氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「われわれが今回、各シナリオに適用したTCOモデルには、設備投資費と運営費の両コストや、必要とされるサイト(基地局を設置する場所)数、各地域の規模、予測されるユーザー数などが含まれている」と述べる。

 なお同氏は、「そのTCOモデルには、帯域を取得する際に必要な実コストも含まれているのか」とする質問に対し、「含まれていない」と答えている。

 今回の50ページに及ぶ包括的なレポートの目的は、超高速ではあるが容量に制限があるというオプションを採用した5Gネットワークを導入する上で、単純に技術的な観点からではなく、経済的な観点から、最も有用な事例を正確に把握することにある。


「3.5GHz帯+ミリ波」と「3.5GHz帯のみ」で、TCOを比較。3.5GHz帯のみを100とした場合、中国でも欧州でも、ネットワークに接続しているユーザーが多いほどTCOが下がっていることが示されている 出典:GSMA Intelligence(クリックで拡大)

 Casstels氏は、「ベンダーや通信事業者たちは、これまで長年にわたり、『次なる目玉はミリ波だ』と主張してきた。しかし実際のところ、それほどたいしたことにはなっていない。それでも通信キャリアは、ここ12カ月の間、『世界各国の市場において、ミリ波に向けた準備が整っている』と主張している。またベンダーの中には、技術的観点からの実現に向け、必要不可欠な専用機器を提供し始めた企業もある」と述べる。

 その上で同氏は、「しかし、ビジネスケース(投資対効果検討書)や潜在的な経済的利益についてはどうなのだろうか。そこに重要な投資決定が必要なのは明らかだ」と付け加えた。

 もちろん規制当局や政府も、ミリ波の実現に向け、現状を熱心に調査したり、帯域のオークションによって得られる潜在所得などを検討してきた。

 Casstels氏によると、一部の地域では、関与する周波数を他に先駆けていち早く解放していることが明らかになったという。例えば、米国や韓国、日本、フィンランド、イタリアなどは他国より一歩抜きんでており、オーストラリアも間もなくその仲間入りをするとみられる。

 例えば、米国はまず、26GHz/28GHz帯の大部分と、700M〜3400MHzの帯域幅を解放している。

 一方、通信キャリアは、ローバンドやミッドバンドも含めた全ての帯域を提供する上で、世界規模で適切なバランスを見つけ出すことにより、高容量の実現に向けて、さらなる広範なカバレッジと豊富な帯域幅を提供できるようにする必要がある。

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