バイデン大統領、半導体業界支援に500億ドル投入へ:370億ドルから増額(1/2 ページ)
米国バイデン大統領は2021年3月31日(米国時間)、2兆米ドル規模のインフラ投資計画を発表し、米国半導体業界の国内生産回帰の実現に向け、500億米ドルを割り当てることを明らかにした。
370億米ドルから増額
米国バイデン大統領は2021年3月31日(米国時間)、2兆米ドル規模のインフラ投資計画を発表し、米国半導体業界の国内生産回帰の実現に向け、500億米ドルを割り当てることを明らかにした。
2020年に提示された「American Foundries Act of 2020(AFA)」と「CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors)for America」の2つの法案では、半導体業界向けに370億米ドルの資金拠出が予定されていたが、バイデン大統領は今回、それを大幅に増額させた。
米国ホワイトハウスは、報道向け発表資料の中で、「バイデン大統領は、米国内で技術/製品を開発、製造することにより、現在の課題に対応しながら明日のチャンスをつかんでいく必要があると確信している。大統領は議会に対し、500億米ドルを投じることにより、米商務省の中に、国内の生産能力の監視と、重要製品の製造をサポートするための資金投入を専任で担う、新しい局を設立するよう求めている他、超党派議員グループによって提唱されたCHIPS for America Act法案の要望に従い、半導体の製造および研究に資金を投入する指示も出している」と述べている。
しかし、バイデン大統領のインフラ投資計画は、超党派から強い支持を得ることはできないだろう。米国上院議員で少数党院内総務を務めるMitch McConnell氏は、「今回のインフラ計画は、まるでトロイの木馬だ。大幅な増税によって、企業や上位中流階級が大きな負担を強いられる可能性がある」と批判している。
バイデン大統が今回の提案を行った背景には、アジアの2大半導体メーカーであるTSMCとSamsung Electronicsが、2021年の半導体業界においてリードを広げていくとの見通しがある。米国の市場調査会社IC Insightsが2021年3月に発表した調査報告によると、SamsungとTSMCの2021年の合計設備投資額は、少なくとも555億米ドルに達する見込みだという。この1年間分だけで、バイデン大統領が提示する500億米ドルを上回るのだ。さらに両社の投資額は、今後数年間にわたって増加していくとみられている。
半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)によれば、米国は今から70年以上前、全世界の半導体を製造していたが、現在では世界生産量全体のわずか12%を占めるにとどまっている。
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