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ガイガーモードのLiDARで市場けん引を狙うArgo AI光子1個を検出可能な技術(1/2 ページ)

米国ペンシルバニア州ピッツバーグに拠点を置く自動運転車の開発メーカーArgo AIは、2021年5月、比較的珍しい技術であるガイガーモード(Geiger-mode)センシングをベースとした同社のLiDARについて、一部の詳細を明らかにした。2021年末までには、この新型LiDARを、同社が隊列走行試験で使用する全ての自動車(約200台)に搭載する予定だという。

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ガイガーモード動作のLiDARを200台に

 米国ペンシルバニア州ピッツバーグに拠点を置く自動運転車の開発メーカーArgo AIは、2021年5月、比較的珍しい技術であるガイガーモード(Geiger-mode)センシングをベースとした同社のLiDARについて、一部の詳細を明らかにした。2021年末までには、この新型LiDARを、同社が隊列走行試験で使用する全ての自動車(約200台)に搭載する予定だという。

 Argo AIは、もともとPrinceton Lightwaveが開発していたアバランシェフォトダイオード(APD)技術を使用している。Princeton Lightwaveは米国ニュージャージー州クランベリーに拠点を置いていた企業だが、Argo AIが2017年に買収している。Argo AIはこの買収により、IP(Intellectual Property)や技術の他、50人を超える技術者から成るチームを確保することに成功した。

 Argo AIは長年にわたり、Princeton Lightwave買収の進捗状況をひた隠しにしてきた。Argo AIのLiDARは、車載用LiDAR市場が現在も絶えず流動的であるということを示している。WaymoやAurora、Cruise、そしてArgo AIなどをはじめとするどの大手自動運転車メーカーも、自らの将来を賭けて既製品LiDARの実現を目指すことができていない(ただし大半のメーカーは、VelodyneのLiDARを採用し、自社のテスト用自動車のルーフに搭載している)。

 それよりも、LiDARを自社開発するという道が選択されてきた。しかし、これらのLiDAR技術は、大手自動運転車メーカー各社の間で、例えばLiDARの物理特性(例:リニアタイムオブフライト/Linear ToF、光子計数検出器を使用したToF、FMCW[周波数変調連続波])や、動作波長(850nm〜940nm、1400nm〜1550nm)、視野(フラッシュ型とスキャン型)などの面でそれぞれに異なっている。

 今のところまだ、1種類の技術が勝利を獲得するという状況には至っていない。

 Argo AIのハードウェア/ファームウェア開発部門担当シニアディレクタを務めるZach Little氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「当社のLiDARを非常にユニークなものにしている要素として、”1400nmを超える波長”と、”単一光子”、”水平視野角360度”の3つが挙げられる」と述べている。

 Argo AIによると、同社のガイガーモードLiDARによって生成される単一光子は、反射性の低い物体を感知する上で、非常に重要な役割を担うという。1400nmを超える高い波長で動作することにより、距離の延長と高い解像度を実現することが可能だ。

 またLittle氏は、「完全な視野も重要である。Argo AIのLiDARはToFフラッシュ型LiDARであるが、機械的に回転する架台の上に配置することにより、水平視野角360度を実現できる」と付け加えた。


Argo AIのLiDARを搭載した米Fordの自動車。2021年4月26日にピッツバーグ市内を走行した 写真:Jared Wickerham/For AI Argo(クリックで拡大)

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