帯域幅とメモリを増大したエッジAI向けFPGA:ラティス「CertusPro-NX」
Lattice Semiconductor(以下、Lattice)の日本法人であるラティスセミコンダクターは2021年6月29日、エッジアプリケーション向けの汎用FPGAとして「CertusPro-NX」を発表した。
Lattice Semiconductor(以下、Lattice)の日本法人であるラティスセミコンダクターは2021年6月29日、エッジアプリケーション向けの汎用FPGAとして「CertusPro-NX」を発表した。Samsung Electronicsの28nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン ・インシュレーター)プロセスを採用したLatticeのプラットフォーム「Nexus」の最新ファミリーとなる。同じくNexusの汎用FPGAで、2020年第2四半期に発表された「Certus-NX」ファミリーに比べ、回路規模とシステム帯域幅を約2倍に向上させた上位機種となる。サンプル出荷は既に開始していて、量産出荷は2022年第2四半期を予定している。
CertusPro-NXは、最大10万ロジックセルをサポートし、最大10Gビット/秒(bps)のSERDESを8レーン備える。最大7.3Mビットのオンチップメモリを搭載し、パッケージサイズは9×9mmに低減した。
通信機器や産業機器、自動車などのエッジアプリケーションをターゲットとするCertusPro-NXは、高い電力効率が特長の一つだ。FD-SOIを採用した低消費電力設計により、トランジスタの動作レベルで電力を削減していることに加え、最適化したFPGAアーキテクチャ、総システム消費電力を低減するIP(Intellectual Property)などによって、高い電力効率を実現した。ラティスセミコンダクターは、「CertusPro-NXは、データセンターなど、性能に対する要求が高いアプリケーションをターゲットとしている他社のハイエンドFPGAとは対照的な製品となる」と説明する。ロジックセルの規模が5万〜10万の他社製品と比較すると、CertusPro-NXの消費電力は最大4分の1ほどになっている。
「CertusPro-NX」は、ロジックセルの規模が同等の他社FPGAに比べて、SERDESが5Gbpsの場合でも10Gbpsの場合でも、消費電力が最大4分の1になっている 出典:ラティスセミコンダクター(クリックで拡大)
帯域幅については、1レーン当たり最大10.3Gbpsを実現。「これにより、多くの次世代エッジアプリケーションで必要とされる10GbE(ギガビットイーサネット)をサポートできる」(ラティス)。その他、PCI Express、SLVS-EC、CoaXPress、DisplayPortなどの一般的な通信およびディスプレイインタフェースも実現可能だ。エッジでの処理に対応すべく、同等のFPGAに比べてオンチップメモリを最大65%増大した。LPDDR4 DRAM外部メモリをサポートすることも特長だ。「LPDDR4 DRAMは、長期的に使用できる可能性を持つことから好んで使用されている」とラティスセミコンダクターは説明する。
ソフトエラーについても、競合製品に比べて最大100分の1(FIT[Failure In Time]/10億時間個で比較)に低減したとする。
エッジアプリケーション向けに低消費電力のFPGAを提供するラティスセミコンダクターは、データセンターなどに向けハイエンドFPGAを提供している競合他社とは一線を画す。ラティスセミコンダクターは、「市場シェアについて具体的な数値を明かすことはできないが、エッジAI(人工知能)に特化して多くのシェアを取りたいと考えている」と語った。
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