14ビデオストリーム上でAIを同時に実行可能なSoC:Ambarellaが開発(1/2 ページ)
イメージプロセッサの専業メーカーであるAmbarellaは、新型SoC(System on Chip)「CV5S」と「CV52S」の2品種を発表した。
イメージプロセッサの専業メーカーであるAmbarellaは、新型SoC(System on Chip)「CV5S」と「CV52S」の2品種を発表した。1つまたは複数のセンサーを搭載したセキュリティカメラをターゲットとし、同社のAI(人工知能)アクセラレーターエンジン「CVflow」によって実現した新しいAI機能を提供するという。いずれの品種も、4Kビデオエンコーディングに対応する他、顔認識やナンバープレート認識などの高性能AI処理をサポートする。
複数センサー搭載のカメラシステムをターゲットとするCV5Sは、最高解像度が8MP(メガピクセル)/4K、フレームレートが30フレーム/秒(fps)のイメージャチャンネルを4つエンコードする他、各4Kイメージストリーム上で高性能AIを実行し、最大14入力に対応することが可能だ。
同SoCシリーズは、同社の旧世代品と比べてエンコーディング解像度とメモリ帯域幅を2倍に高めながら、消費電力量を30%低減したという。その消費電力量は5W未満で、12eTOPS(GPU-equivalent TOPS:同じAI処理タスクの実行に必要とされるGPU馬力を表すAmbarellaの評価基準)の性能を実現している。
もう一方のCV52Sは、シングルセンサーカメラをターゲットとし、4K/60fpsをサポートする。Ambarellaの旧世代品と比べて、AI性能を4倍、CPUスループットを2倍に高め、メモリ帯域幅は50%増を実現したという。また、消費電力は3W未満、6eTOPSを提供する。
このような性能向上を実現できた背景には、5nmプロセス技術への移行や、Ambarellaが独自開発したCVflow AIアクセラレーターブロックの性能向上などがある。
同社のマーケティング部門担当シニアディレクターを務めるJerome Gigot氏は、「現在、世界各国のさまざまな新興企業が、1W当たり最高クラスのAI性能を達成したと主張している。確かにそれは正しいことかもしれないが、AI性能そのものが、実際にカメラなどの製品を作るわけではない。単にAIアクセラレーターだけを持っていても意味がない」と述べる。
Gigot氏は、「4K/8Kビデオの画像パイプラインは非常に複雑だ。大量のデータを扱ったり、ビッグデータをエンコーディングしたり、それらのデータをAI処理向けブロックに転送しつつLinuxを最上部で動作させたりする必要がある。これを、パワーバジェットを低く抑えながらビデオ品質も維持した状態で達成するのは、とても難しい」と説明する。
新型SoCはいずれも、CVflow AIアクセラレーターに加え、AmbarellaのISP(Image Signal Processor)を搭載することにより、色処理や自動露出、自動ホワイトバランス、雑音除去などのさまざまな機能をサポートしている。
Gigot氏は、「われわれは、このブロック開発に16年間を費やした。このため新興企業は、この先まだ長い道のりを行かなければならないだろう。他社からISPブロックのライセンス供与を受けるという方法もあるかもしれないが、メモリアクセスなどのさまざまな面で、実際にシステムの他の部分には統合されないということになる」と指摘する。
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