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光トランシーバーのForm Factorの新動向(6) 〜電気と光のインタフェース光伝送技術を知る(17) 光トランシーバー徹底解説(11)(2/4 ページ)

今回はCPOモジュールの大きな議論となる電気と光の実装インタフェースを述べる。また、2021年2月上旬にCPO CollaborationからJDFの成果として3.2T CPOの要求仕様が公開されたので紹介する。

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電気と光の実装インタフェースのPluggability

 さて、Intra data center NetworkにおいてFFPでは、電気のソケットを有するケージにまず光トランシーバーモジュールを挿入し、光ケーブルの光コネクターを挿入するという2段階の挿入により“Flexibility”と”Serviceability”を確保している。この“電気と光のPluggable方式”は理にかなっている。

 ではここで、CPOやNPOといったIn-Box光モジュールのPluggabilityに関して考察してみたい。

 まず考慮しなければいけないのが、CPOやNPOといったIn-Box光モジュールではFront Panel Pluggableにはない、Front Panelまでの光ファイバー配線、ファイバールーティングの課題があることだ。

 1990年代半ばごろ、On-Boardのピッグテール型12チャネルSMF(シングルモードファイバー)光インタコネクトモジュールを開発したが、搭載するにあたり顧客における最大の課題はPCB上のファイバーであった。より具体的に言うなら、難燃性を確保しながらピッグテールファイバーをルーティングしやすく細線軽量化、柔軟にすることと、同長のピッグテール光ファイバーを他の電子部品や冷却系部品との干渉無くルーティングすることである。さらに、ファイバールーティング工程の自動化が要求されたが、これは実現できず手動組立となった。

 また、あらかじめルーティングされたファイバーハーネスを使用することが提案・検討されたが、当時のMPOの最大ロスが大きく断念した。現在は光コネクターの最大ロスも低くファイバーハーネスも可能だと考えている。

 このファイバールーティングやBox内の光コネクターがCPOやNPOの規格に反映されなければならない。


図2:ピッグテール型12チャネルSMF 光インタコネクトモジュール

 表1は、電気と光実装インタフェースの比較である。電気実装ははんだ固定(Soldered)とソケット(Pluggable)、光はピッグテール(Long Pigtail)とレセプタクル(Pluggable/Short pigtail)の組み合わせの比較を示した。レセプタクルにはBox内にジャンパ光ケーブルが必要な短尺ピッグテール(Short pigtail)を含む。OBO,NPOも同様だと考え、CPOをOptical Engine (OE)と記してある。


表1:電気と光実装インタフェース比較

 光インタフェースの“Flexibility”に関しては、あらかじめ設計された光インタフェースの光モジュールを組み込むのだが、設計変更対応容易性や短納入サイクルにはソケットが有利である。また、“Serviceability”のリペアに関してもBoxメーカーでの交換が短修理サイクルや容易性からソケットが有利である。

 CPO、OBOやNPOの課題であるファイバールーティングに関しては、レセプタクルが有利である。あらかじめCPOとFront Panelをルーティングするファイバーハーネスを使用すれば、Box組立時のファイバールーティングが不要だ。修理もファイバールーティングをやり直す必要がない。

 ピッグテールの場合、PCBに搭載してからのファイバールーティングとなるが、自動化が難しく、手動でもスキルが要求される。修理に際しファイバールーティングの再組み立てが必要となる。

 CPOの“Flexibility”と“Serviceability”は、納入・変更・修理の短期サイクルと容易さと考えればソケット+レセプタクル(短尺ピッグテール)が有利である。

 試験回数と特殊部品に関するコストも比較した。試験に関しては、どの方式もCPO単体試験とBox出荷試験が必要である。はんだの場合、MCM搭載後の出荷試験が追加で必要である。特にレーザーを内蔵化、また、エポキシなどの接着剤を使用したCPOでは、加熱工程を経ることにより工程温度によっては、はんだ工程後に試験が必要となる。さらに、レーザー内蔵の場合は歩留まりが生じるバーンイン・スクリーニング試験工程をMCM搭載後に行うことがないよう、低温プロセスという工程設計に縛りが出てくる。試験回数からはソケットが有利である。

 特殊部品としては、以下がある。

(1)はんだ固定では高温プロセスに耐える光部品とそれを固定する接着剤が新たに必要である

(2)ソケットでは高速広帯域、高信頼、小型のソケットが必要である。また、放熱・冷却機構との干渉などを考慮しなければならない

(3)レセプタクル/短尺ピッグテールではピッグテールに比較し光コネクターが増えるが、Front Panelでの光インタフェース規格を満たすために低損失が要求される

(4)ピッグテールでは難燃性規格(UL規格)を満たす軽量・細線・柔軟なケーブルが新たに必要である

 特殊な部品は無いが、新しい部品開発が必要で、標準化や量産化によって低価格化が可能な部品と考えられる。

 上記の考察では方式としてはソケット+レセプタクル/短尺ピッグテールが有利である。先例として旧Avago Technologies(現Broadcom)のMini/Micro Podが良い例である。しかし、後で紹介するようにOIFで進めることになったFacebookとMicrosoftのCPO JDF仕様ではLGAソケットと長尺(50cm)ピッグテールとなっている。今後の議論を期待している。

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