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光トランシーバーのForm Factorの新動向(7) 〜CPOの最新動向光伝送技術を知る(18) 光トランシーバー徹底解説(12)(1/3 ページ)

次世代光インタフェースモジュールとして注目を集めているCo-packaged Optics (CPO)について解説する。CPOはOptical Internetworking Forum(OIF)に舞台を移し議論されている。

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 前回に続き、次世代光インタフェースモジュールとして注目を集めているCo-packaged Optics (CPO)について解説する。CPOはOptical Internetworking Forum(OIF)に舞台を移し議論されている。

Front Panel Pluggableの動向

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 CPOの議論も活発だがFront Panel Pluggable(以下、FP Pluggable)の動向にも進展がある。10年程前にServer Virtualizationを実現するためClos Switch Network構造とSoftware Defined Network(SDN)を導入したハイパースケールデータセンターでは、FP Pluggableがキー部品の一つであった。CPOをFP Pluggableの次のフォームファクターと捉えるならば、FP Pluggableの動向を、特にハイパースケーラーから漏れ伝わってくる声を基に、予測することが大事である。

 FP Pluggableが当面続くと表明しているのがGoogleとAristaである。ともにEthernet Technology Consortium(25 Gigabit Ethernet Consortiumの改名)のメンバーだ。AristaのチェアマンであるAndy Bechtolsheim氏は、「OFC2021」のワークショップ「S3A」で、以下のような意見を述べた。

  1. CPOは51.2T、102.4Tでは不要である。FP Pluggableで可能
  2. 800Gと1.6TのFP Pluggableがローリスクである
  3. Switch ICのトレンドは、CPOを待っていられない

 当分は100G電気インタフェースが主流であり、OSFP(8-Lane)と、新しく提案するOSFP-XD(16-Lane)を使用すれば、1.6Tまでサポートできる。200G-per-Lane Opticsは実用時期に来ているので、200Gx4あるいは2x(200Gx4)で800G/1.6Tが可能というものである。

 図1はことし(2021年)2月に開催されたLightwave WebcastのBeyond 400Gで配布された、GoogleのCedric F. Lam氏によるプレゼン資料からの引用である。これによれば、2024〜2025年の1.6T(2x800G) OSPF (200Gx8 Lane)まで計画が示されている。ちょうどCPOの実用化が考えられている51.2Tスイッチシリコンの時期でも、FP Pluggableというわけだ。


図1:Google Data Centerの光トランシーバー動向[クリックで拡大] 出所:Lightwave WebcastのBeyond 400Gで配布された、GoogleのCedric F. Lam氏によるプレゼン資料

 Lam氏は2021年3月、IEEE802.3のBeyond 400Gの議論の中で、要素部品のサプライヤーへの調査により200G-per-Laneが実用化可能であることを発表している(参考)。

 それによれば、2つのEMLベンダーが既に帯域65GHzを達成し、PD+TIAは70GHz、DriverやDSPも60GHzを達成していて、量産化へ移行できるレベルにあるとしている(PAM-4/6を前提としているため必要な帯域は56/45GHzである)。シリコンフォトニクスも、2年後には、Vπは8〜10Vと高いが、可能な技術になるとする。これらのことから、800G(4x200G)や1.6T(8x200G)が実用化できるとしている。

 さらに、Bechtolsheim氏は同じOFCのワークショップでOSFP-XDを発表している。電気信号8-laneのOSFPに対し、16-laneのOSFP-XDである。XDはExtra Denseとのことで、競合するフォームファクターであるQSFP-DD陣営と同じDouble Density(-DD)は使用したくないのだろう。ユーザーとしては一般的に広まっている-DDとしてほしいと思う。もちろん、OSFP-XDはOSFP Backward Compatibleである。規格化はこれからである。


図2:OSFP-XD[クリックで拡大]

 それによれば、OSFP-XDで1.6Tをサポートできるという。そのプレゼンを再現すると表1のようになる。AndyはさらにQSFP-XDの電気インタフェースを200Gとすることで3.2Tまでサポートできるとしている。


表1:OSFP-XDに使用すると提案された光インタフェース[クリックで拡大]

 GoogleがFP Pluggableを推進するのは、なぜだろうか。

 Googleのデータセンターでは、建物はもちろん、電力系や冷却系などのインフラは「20年で回収する」ことを考えているというのは良く知られている。Leaf/Spine NetworkのFiberもインフラと考え、当時としては画期的なことであったが、Single Mode Fiber(SMF)が選択された。

 2010年から始まったハイパースケールデータセンターであるが、20年後は2030年である。それ以降の建設も考えると、2030年以降もできるだけ同じ建物でシステム構成、システム管理ソフトで運用できることが投資回収に必要なことである。FlexibilityとServiceabilityが大きく変化すると、従来とは異なるシステム構成や管理ソフトの開発(=投資)が必要となる。いわゆるBrown Field(既設)では、できるだけFP Pluggableで引っ張るほうが良いのである。

 さて、現在建設中のデータセンターが使用する2040年のオプティクスは、FP Pluggableなのだろうか。

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