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英国、NVIDIAによるArm買収の調査を拡大へさらなる調査を開始(1/2 ページ)

英国政府は、NVIDIAによるArmの買収について、競争や国家安全保障などの面で懸念があるとして、24週間に及ぶ追加調査を開始したという。規制当局は、初期調査に関する詳細な報告書を発表しており、「NVIDIAのArm買収によって、技術イノベーションが阻害される可能性がある」と結論付けている。

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 英国政府は、NVIDIAによるArmの買収について、競争や国家安全保障などの面で懸念があるとして、24週間に及ぶ追加調査を開始したという。規制当局は、初期調査に関する詳細な報告書を発表しており、「NVIDIAのArm買収によって、技術イノベーションが阻害される可能性がある」と結論付けている。

 今回の動きは、欧州委員会(EC)がEU企業結合規則に基づき、NVIDIAのArm買収計画についての独占禁止法審査を開始してから、3週間後となるタイミングで発表された。2022年3月15日までに判断を下す予定だという。欧州規制当局は、両社の合併後に、ライバル企業に対してArm技術へのアクセスを制限するための動機が生じる可能性があるという点を懸念している。またECの調査では、この買収により、半導体業界において製品価格の上昇や選択肢の縮小、イノベーションの低下などが起こり得る可能性についても検討するという。

 英国デジタル相であるNadine Dorries氏は、英国の競争・市場庁(CMA:Competition and Markets Authority)に対し、NVIDIAによる540億米ドル規模の買収提案について詳細な調査を開始するよう指示したという(買収金額は当初、400億米ドルだったが、NVIDIAの株価が上がったため540億米ドルまで上昇している)。

 Dorries氏は、「CMAが実施した、NVIDIAのArm買収に関するフェーズ1の調査結果を慎重に検討した結果、さらに詳細なフェーズ2の調査を行うよう指示するという判断に至った。Armは、世界の技術サプライチェーンの中でユニークな位置付けを確立しているため、NVIDIAによるArm買収の影響については、確実かつ徹底的に検討する必要がある。CMAからは、NVIDIAのArm買収による競争および国家安全保障への影響に関する調査結果の報告を受ける他、次のステップに関するアドバイスも受ける予定だ」と述べている。

 「英国政府としては、好調な技術分野に対して揺るぎない信念を持って取り組んでおり、海外からの投資も歓迎する。しかし、買収による影響について徹底的に調査することは適切だと考えている」(Dorries氏)

 NVIDIAが2020年9月にArm買収を発表して以降、欧州規制当局にとって、“戦略的半導体業界における競争”が重要な課題とされてきた。

 ECの執行副委員長を務めるMargrethe Vestager氏は、「半導体は、私たちが日々使用するさまざまな製品やデバイスの他、データセンターなどのインフラにも搭載されている。ArmとNVIDIAは直接競合しているわけではないが、ArmのIP(Intellectual Property)は、例えばデータセンターや自動車、IoT(モノのインターネット)などの分野でNVIDIAと競合している製品の中でも重要な要素となっている」と指摘する。

 また同氏は、「われわれの分析結果から、NVIDAのArm買収によって、ArmのIPへのアクセスが制限されたり悪化したりするなど、半導体が使われているさまざまな市場にゆがんだ影響が及ぶ可能性があることが明らかになった」と付け加えた。「われわれの調査の目的は、欧州で活動しているメーカーが、最新の半導体製品を競争力のある価格で生産するために必要な技術に対して、継続的かつ効果的にアクセスできるようにすることだ」(同氏)

懸念のコメントが多数届く

 CMAは、2021年11月に発表したフェーズ1の調査報告書の中で、「NVIDIAとArmは、重要な技術をけん引する存在であるため、両社が合併すれば、さまざまな市場をターゲットとする重要技術に対し、かなりの支配力を及ぼすことになるだろう」と指摘している。

 英国の規制当局は、「NVIDIAのArm買収計画について懸念を抱いている顧客企業や競合企業から、数多くのコメントが届いている。CMAが慎重に調査を行った結果、合併後の新会社の能力やインセンティブについて、競争上の重要な懸念があることが明らかになった。NVIDIAが、ArmのCPU IPへのアクセスを制限したり、関連製品の相互運用性を阻害するなどして、ダウンストリーム活動からメリットを享受したり利益を増加させることにより、NVIDIAのライバル企業の競争力が損なわれたり妨害されたりする可能性があるのだ」と述べている。

 またCMAは、「NVIDIAが、データセンターや自動車、ゲーム用アプリケーションなどのさまざまな市場において、CPUやインターコネクト製品、GPU、SoC(System on Chip)などの分野を押さえることにより、競争上の重大な懸念が生じる」と指摘する。

 NVIDIAはCMAの懸念に対応すべく、「行動的問題解消措置(behavioral remedy)」を提案した。しかし、CMAはこれについて、「仕様や監視、施行などの面でかなりのリスクがあるため、フェーズ1の基準によって認識された競争上の懸念には対応できていない」との見解を示している。

 また報告書では、匿名のサードパーティー企業からのコメントを引用しながら、Armに代わる半導体IPの現状についても評価が行われている。CMAは結論として、「多くのライセンシーは、ArmのCPU IPに大きく依存しているため、今後5年以内に、信頼できる代替メーカーとなるIPサプライヤーを見つけ出すことは難しいだろう」と述べている。

 さらにCMAは、「また調査結果から、多くのサードパーティーにとって、全てのアプリケーション全体で独自ソリューションを自社開発する方向へと進んでいくことは、ArmのCPU IPの代替としては現実的な手法ではないということが明らかになった」と指摘する。

 規制当局が引用したあるコメントによると、「CPUコア開発には、時間や資金投資の面で膨大な量の再構築が必要だ。これまでに市場参入後に十分な拡充を実現して成功を収めることができた半導体IPサプライヤーは、Arm以外存在しない」という。

 CMAは、「サードパーティーの証言から、対応していく上で膨大な時間と資金投資を必要とするソフトウェア移植性の問題が存在するため、IPサプライヤーを切り替えるには重大な障壁があることが明らかになった」と述べる。

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