2022年半導体市況展望、15%超の成長が見込めるが年央に潮目が変わるかも:大山聡の業界スコープ(48)(1/2 ページ)
2022年の半導体市況、そして、半導体不足の解消時期について展望してみたい。
WSTS(世界半導体市場統計)は2021年11月30日、2021年秋季半導体市場予測を発表した。それによると2021年の世界半導体市場規模は前年比25.6%増、2022年は同8.8%増とプラス成長が続くと予測した。WSTSでは、2021年6月の時点で2021年を同19.7%増、2022年を同8.8%と予測していたので、2022年については成長率を据え置いたことになる。この予測をどう評価すべきか。特に昨今の半導体不足はいつまで続くのか、この点の考え方によって2022年の予測は大きく変わるだろう。2021年の見通しは10月までの実績が公表されているので、予測値に近いところで着地すると思われる。ここでは2022年の市場動向を中心に予測してみたいと思う。
製品別の市場展望
ディスクリートは2021年を前年比26.4%増と予測している。2021年1月から10月までの実績を見ると同27.7%増、ほぼ毎月コンスタントに同20%を超える伸びを続けている。特にパワー系製品はクルマの電動化や産業機器の自動化などに需要が伸び続けていて、300mm(12インチ)ウエハーラインでの量産が各社で早く立ち上がらないと、慢性的な不足状態になる可能性がある。2022年の予測は同8.8%増としているが、20%前後の成長があり得る、と筆者は予測している。
光半導体は同7.0%増と予測している。2021年10月までの実績では同8.1%増。この市場は約半分がイメージセンサーで占められており、年後半はマイナス成長が続いている。スマホ1台当たりのイメージセンサー搭載数量がどう変化するかによって見通しが大きく変わるが、現状の傾向から考えると2022年はややネガティブな見通しになりそうである。同6.4%増というWSTSの予測を下回る可能性もあるだろう。
センサーは同25.6%増という予測。2021年10月までの実績では同28.6%増という高い伸び率だが、年前半から年後半にかけて伸び率が弱まる傾向になっている。2022年の予測は同11.3%増としているが、無難な予測といえそうだ。
不足は感じられないメモリ
ICはアナログ、マイクロ、ロジック、メモリに類別される。
アナログ市場は同30.9%増という予測。2021年10月までの実績では同34.3%増という驚異的な伸びである。ただし年前半から年後半にかけて伸び率がやや鈍化しており、2022年は同20%増を下回る可能性が高そうである。WSTSの予測は同8.8%としているが、ここまで低い成長率になることは考えにくい。
マイクロ市場は同13.5%増という予測。2021年10月までの実績では同14.1%増で、比較的コンスタントな成長を続けている。2022年はMPUもMCUも2ケタ成長が期待できそうなので、全体でも10%以上の成長を見込める、と筆者は予測している。WSTSの同6.2%増という予測は、保守的すぎるのではないだろうか。
ロジック市場は同27.3%増という予測。2021年10月までの実績では同30.3%増という高い伸びを記録している。この市場も年前半より年後半の伸び率が若干下がっているが、かなりコンスタントな成長を続けており、この傾向が続けば2022年は同20%近い成長が見込めるのではないだろうか。WSTSは同11.1%増、この市場だけ2ケタ成長を予測しているが、やや保守的にみえる。
そしてメモリ市場。2021年の成長率を同34.6%増と予測しているが、2021年10月までの実績では同25.9%増。しかも9月以降の伸び率が低迷していることを考えると、WSTSの予測は高すぎるように見える。もう少し詳細にみると、DRAMの2021年10月までの実績は同40.2%増、比較的安定した伸びを示しているが、NAND型フラッシュメモリの実績は同7.4%増、大きな盛り上がりを見せないうちに市場がピークアウトしようとしている。平均単価の動向を見ると、DRAMが年後半から若干下がり気味、NANDフラッシュが横ばいになっていて、特に不足は感じられない。この状態で2022年の動向を考えると、DRAMもNANDフラッシュもあまり強気な見通しは持てない。WSTSはメモリ全体で同8.5%増と予測しているが、筆者としても同10%程度がせいぜいとみている。
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